近年、日本でも多くの飲食店やスーパーマーケットで見かけるようになったカルローズ米。
日本米とは異なる独特の食感と調理法で、寿司やリゾット、チャーハンなど様々な料理に活用されています。このアメリカ産の中粒米には砒素含有の懸念もありますが、適切な調理法と消費方法で健康リスクを低減しながら、その特性を活かした多様な料理を楽しむことができます。
本記事では、カルローズ米の特徴や歴史から、健康面での注意点、そして美味しい調理法まで詳しく紹介します。
カルローズ米とは:特徴と歴史的背景
誕生の背景と普及の歴史
カルローズは1948年にカリフォルニア州で開発された中粒のジャポニカ種です。名前の由来は「California(カリフォルニア)」と「Rose(バラ)」を組み合わせたもので、粒の形状が伝統的なバラの花びらに似ていることからこの名が付けられました。
第二次世界大戦後、アメリカに駐留していた日本人の食文化の影響で、粘り気のある米への需要が高まったことがきっかけとなり開発されました。1912年からカリフォルニアで栽培が始まったジャポニカ系品種を改良し、現在の特性を持つカルローズ米が誕生したのです。
現在ではカリフォルニア州で栽培される米の約80〜85%がカルローズ種となり、40カ国以上に輸出されています。特に米食文化が根付くアジア地域での人気が高く、日本や韓国をはじめとする国々に広く輸出されています。
カリフォルニアの長い日照時間と良質な水、栄養豊富な土壌という環境がカルローズ米の栽培に最適とされ、地元の米作農家にとっても重要な収入源となっています。
1993年のカルローズのCMを発見。なんだか斬新ですねw
日本米との違いと独自の特性
カルローズ米は日本の短粒米よりも粒が若干大きく、中粒米に分類されます。
見た目は日本米よりも粒が長めで、水分量が少なく、炊き上がりの粘り気も控えめです。一粒一粒がしっかりとした食感を持ち、パラリとした口当たりが特徴となっています。
アミロース(でんぷん質の一種)の含有量が日本米よりもやや多いため、粘り気が少なく、粒が独立しやすい性質があります。このため、日本米のもちもち感とインディカ米(長粒米)のパラパラ感の中間に位置する食感となり、両方の特性を兼ね備えているといえるでしょう。
炊飯後も冷めてもベタつきにくく、一粒一粒の存在感があるため、さまざまな料理に適応します。特に炒飯やリゾット、サラダなど粒感を活かした料理との相性が抜群です。また、味や調味料を吸収しやすい特性もあり、カレーやスープなどとも好相性です。
水分の吸収率も日本米と異なり、やや少なめの水で炊くことで最適な食感が得られます。この特性を理解し、適切な水加減で炊くことがカルローズ米を美味しく食べるコツでもあります。
カルローズはまずい?
検索クエリを見ると、カルローズはまずい、こうした意見のようなものもありました。色々と評判を調べてみたのですが、偏見が強めの意見が多くこれについてはなんともいえません。
もちろんこの人はちゃんと比べて食べて美味しくないと言っているな、なるほど、という人もいるのです。
ただ、なんだか強いポリシーを持ってカルローズはまずい、と思いながら食べてやっぱりまずかった、というような形の、強いポリシーを持っている人がSNSなどだと意外なほど散見されて、なんともいえないということです。
ちなみに個人的には極めて普通に美味しかったです。米のもちもちした粘り気重視の人にはそこまでおすすめしません。そして少しだけ日本米より大きいです。
別に毎日コメを作っている日本の農家さんが食べても、まずいとまで思う人は少ないんじゃないかという印象です。
(ワインやオレンジも大評判のカリフォルニアの広大な農地で基準も厳しく育てているジャポニカ種なので、アメリカの農家さんに当たり前だろと言われそうですが..。)
カルローズは危険?
カルローズ米は危険だ、こうした意見も検索クエリなどを見るとあったのですが、全然そんなことはありません。
アメリカの農業の基準は元から厳しい方の国ですし、輸出用は更にチェック体制を作ってあって第三者機関まで使ってかなり厳重といえるでしょう。
公式サイトにもありましたが、こんな感じで3重チェックです。
心配な人はリンクになっているのでチェックしてみるとより安心して食べられるかもしれません。
カルローズ米を使った世界の料理
カルローズ米は北米を中心に様々なフュージョン料理に活用されています。
代表的なものとしてカリフォルニアロールが挙げられます。アボカドやカニカマを巻き込んだこの巻き寿司はカルローズ米のさっぱりとした食感が生かされ海外での日本食人気を牽引しました。
ハワイの名物料理「ロコモコ」にもカルローズ米がよく使われます。ハンバーグとフライドエッグをのせたライスプレートは観光客にも人気の一品です。カルローズ米のパラリとした食感がハンバーグの肉汁やグレイビーソースを絶妙に受け止めます。
西海岸を中心に広がった「ポキボウル」もカルローズ米の活用例として知られています。マグロやサーモンの刺身と野菜を彩り豊かに盛り付けた料理はヘルシー志向の高まりとともに人気を博しています。
中南米では「アロス・コン・レチェ」というシナモン風味の甘いデザートが人気です。もち米に近い粘り気を持つカルローズ米はこのミルクプディング風のデザートにぴったりと合います。
日本米とカルローズ米を混ぜて炊いても大丈夫?
混ぜて炊くことも可能ですが水加減と炊飯時間に注意が必要です。
両者は吸水率や炊き上がりの特性が異なるためカルローズ米の割合に応じて水加減を調整しましょう。例えば日本米7:カルローズ米3の割合なら通常の日本米より水を5%程度少なめにするとよいでしょう。
また事前に両方の米を別々に30分程度浸水させてから混ぜるとより均一に炊き上がります。混ぜることで日本米のもちもち感とカルローズ米の粒感を両立させた独特の食感を楽しむことができます。
まとめ
カルローズ米はその独特の食感と多用途性から世界中のさまざまな料理に活用されています。日本米とインディカ米の中間的な特性を持ち寿司やおにぎりからチャーハン、リゾット、そしてデザートまで幅広い料理に対応できる万能性が魅力です。
健康面では低脂肪でバランスの良い栄養価を持ちグルテンフリー食品としても重宝されています。砒素含有の懸念はありますが適切な調理法で低減可能です。
料理に合わせた炊き方や調理法を工夫することでカルローズ米の特性を最大限に活かした美味しい料理が楽しめます。日本米とは異なる食感や特性を持つカルローズ米を取り入れることで家庭の食卓にバリエーションを増やし新たな味わいとの出会いを楽しむことができるでしょう。
カルローズ米と他の米の比較表
こちらカルローズ以外にもバスマティライスや色々なその他の有名なお米との比較表もどうぞ。
種類 | 粒の形状 | 粘り気 | 向いている料理 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
カルローズ米 | 中粒(やや楕円形) | 中程度 | 寿司、チャーハン、リゾット | 多用途性が高く、冷めても硬くなりにくい |
日本米(短粒米) | 短粒(丸みがある) | 強い | おにぎり、丼物、和食全般 | もちもちとした食感、粘りが強い |
ジャスミンライス | 長粒 | 弱い | タイ料理、炒飯 | 芳香性が高く、パラパラとした食感 |
バスマティライス | 極長粒 | 非常に弱い | インド料理、ビリヤニ | 香り高く、細長い粒が特徴 |
アルボリオ米 | 中粒(丸みがある) | やや強い | リゾット、イタリア料理 | クリーミーな食感、でんぷん質が多い |