コナファとは【エジプトからトルコまでお馴染み】
コナファは中東を代表する甘いデザートとして世界中で愛されています。
細切りのフィロ生地とチーズを主な材料とし甘いシロップでコーティングされたコナファ。
独特の食感と味わい。そして何世紀にもわたる歴史の中で様々な文化の影響を受け地域ごとに異なるバリエーションが生まれています。
時期としてはラマダン(イスラム教の断食月)の期間中の欠かせない存在としても、多くの家庭や店先で見かけることができるアラブ圏のデザートです。
コナファの起源と歴史的背景
古代から現代に続く歴史の流れ
コナファの歴史は非常に古くその起源は諸説あります。
一説には、エジプトのファーティマ朝(10世紀〜12世紀)時代に創始されたと言われ中世のアラビア料理書にもこのデザートの記述が見られます。
また別の有力説として、パレスチナの都市ナブルスが発祥の地とされており現在でも「クナーファ・ナブルシーヤ」(ナブルス式コナファ)は特に有名です。どちらの説が正しいかは歴史家の間でも議論が続いているようです。
「コナファ」という名前はアラビア語で「守る」「覆う」を意味する「クンフ(Kunf)」に由来しており、細切れの生地が具材を覆っている様子を表現しています。
中世のアラビア料理書にもこのデザートの記述が見られることから、少なくとも数百年の歴史を持つことは間違いないでしょう。
当時の交易ルートを通じて中東全域に広まりオスマン帝国の拡大とともにさらに遠方まで伝わっていったと考えられています。
地域間の伝播と文化的影響
オスマン帝国が地中海東部から北アフリカ、バルカン半島にかけて領土を拡大した際、コナファは帝国の食文化の一部として広く伝播しました。
そのため現在ではエジプト、レバノン、シリア、ヨルダン、パレスチナ自治区といった中東諸国だけでなく、トルコやギリシャなどの地中海諸国でも独自のバリエーションが見られます。
各地域では地元の食材や調理法を取り入れて独自の発展を遂げてきました。トルコでは「キュネフェ」として知られ、中東各国でも呼び名や調理法に微妙な違いがあります。これらの違いはそれぞれの文化が持つ食の伝統や嗜好を反映しているといえるでしょう。
コナファの基本材料と作り方
伝統的な材料とその役割
コナファの基本材料は地域によって若干異なりますが一般的には以下のものが使われます。
- カタイフィと呼ばれる細切りのフィロ生地(カタイフィはアラビア語で「カダイーフ」に由来し、特殊なノズルを通して熱い板の上に生地を垂らして作る極細の糸状の生地です。乾燥させると長期保存が可能で使う前に水分を加えて復活させます)
- 無塩チーズ(モッツァレラとリコッタの混合、もしくはナブルシなどの地方チーズ)
- バターまたはギー(澄ましバター)
- 砂糖と水で作るシロップ
- 香り付けのためのローズウォーターやオレンジの花水
伝統的なコナファでは特殊な細切りのフィロ生地が使われますが、近年ではアクセスしやすい材料としての春雨や細切りのジャガイモを代用することもあります。これは料理の多様性と適応性を示す良い例だと言えるでしょう。
調理プロセス
コナファの基本的な作り方は材料の準備から始まります。
事前準備
- 細切りカタイフィ生地を常温に戻し必要に応じてほぐしておきます
- チーズは塩抜きが必要な場合は水に浸して塩分を抜き細かくちぎっておきます
- シロップは砂糖と水を2:1の割合で煮詰めレモン汁とローズウォーターを加えて冷ましておきます
層の形成と焼成
- バターまたはギーを溶かしカタイフィ生地と混ぜ合わせます
- 丸い焼き型の底に生地の半分を敷き詰め手で軽く押さえて平らにします
- チーズやクリームのフィリングを生地の上に均等に広げます
- 残りの生地をフィリングの上に重ね再び軽く押さえて平らにします
- 180℃のオーブンで30〜40分、上面がきつね色になるまで焼きます
仕上げ
- オーブンから取り出したら熱いうちに冷やしたシロップを全体にかけます
- シロップが層に染み込むまで15〜20分ほど置きます
- 刻んだピスタチオなどを飾り付けて温かいうちに切り分けて提供します
コナファはホットで食べるのが一般的でシロップがしっかり染み込みチーズが少し伸びる状態で提供されるのが理想的です。地域や家庭によって調理時間や温度に若干の違いがありますが、上面の色とチーズの溶け具合が重要な完成度の指標となります。
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世界各地のコナファバリエーション
中東諸国の地域的特色
中東各国ではそれぞれ独自のコナファスタイルが発展しています。
パレスチナのナブルスでは、オリジナルとされる「クナーファ・ナブルシーヤ」が有名で地元のチーズを使用しオレンジ色の生地が特徴です。
エジプトでは「コナファ・メッシャラバ」(Konafa Mesharaba)と呼ばれるバージョンが人気で、アシュタと呼ばれるクロテッドクリーム(乳脂肪分が凝固した濃厚なクリーム)を層にしたものがよく食べられています。
先に述べたようにラマダン中には欠かせないデザートとして親しまれておりカイロの伝統的なスイーツ店では行列ができるほどの人気です。
レバノンでは生地の食感を重視しシリアでは甘さのバランスに特徴があります。ヨルダンではピスタチオの使い方が独特で砕いたピスタチオをたっぷりとトッピングするスタイルが一般的です。
トルコとギリシャのアレンジ方法
トルコでは「キュネフェ」(Künefe)として知られ、主にハタイ・ペイニリまたはディル・ペイニリという特殊な伸びるチーズを使用します。
このチーズは東部のハタイ地方が有名で塩味が控えめで加熱すると糸を引くような食感が特徴です。
砂糖シロップの代わりにはちみつを使うこともあり、カイマク(クロテッドクリームの一種)を添えて提供することが特徴です。シロップに浸したパン粉の層を加えるというアレンジも見られます。
ギリシャでは「カダイフィ」と呼ばれ蜂蜜とシナモンを使った独特の風味付けがされています。しばしばクルミやピスタチオを混ぜ込みより濃厚な味わいになっています。
ラマダンと祝祭における重要性
コナファはイスラム教のラマダン(断食月)において特別な意味を持ちます。
日没後の断食明けの食事「イフタール」で供されるデザートとして多くの家庭や店舗で作られています。甘くてエネルギーの高いコナファは一日の断食後の体力回復に適しているとされているのです。
また結婚式や出産祝い、イードなどの祝祭日にも欠かせない存在でお祝いの場でコナファが振る舞われることは幸福と豊かさの象徴とされています。
家族や友人が集まる際に大きなトレイに盛られたコナファを囲むことは絆を深める重要な文化的儀式の一つとなっているようです。
コナファに関するQ&A
コナファで使用するチーズは何がおすすめですか?
本場では非熟成の白いチーズが使われますが、日本で手に入りやすいものだとモッツァレラチーズとリコッタチーズを混ぜたものがおすすめです。
モッツァレラはよく伸びる食感をリコッタは優しい風味を提供します。塩気の強いチーズを使う場合は事前に水に浸して塩抜きするとよいでしょう。
コナファのカロリーは高いですか?
コナファは砂糖シロップとバターをたっぷり使うため比較的高カロリーなデザートと言えます。
ただし地域や作り方によってカロリー量は幅がかなりあります(一食で300から600kcalほど)
より健康志向のバージョンとして砂糖の量を減らしたりバターの代わりにオリーブオイルを使ったりするアレンジも存在します。特別な日の楽しみとして適量を楽しむのがおすすめです。
まとめ
コナファは古代から現代まで脈々と受け継がれてきた中東の伝統菓子です。
細切りのフィロ生地とチーズという基本的な組み合わせながらも地域ごとに異なるバリエーションが存在し、それぞれの文化的バックグラウンドを反映しているといえるでしょう。
ラマダンの断食明けの食事や特別な祝祭日には欠かせない存在として、家族や友人との絆を深める役割も果たしてきました。近年ではSNSの普及やグローバル化により中東を超え、より世界各地で愛されるデザートとなっています。
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