深い紫色をした小さな果実、アサイー。アマゾンの熱帯雨林で何千年も前から食されてきたこの果実は、今や世界中で「スーパーフード」として注目を集めています。
豊富な抗酸化物質と栄養価の高さから今やモデルからアスリートにも愛されるアサイー。その独特な味わい、深い歴史、そして健康効果まで、この魅力的な果実の全てを紐解いていきましょう。
アサイーとは
アサイーはヤシ
アサイーは中南米の熱帯地域原産で、ブラジルのアマゾン地域に広く分布するアサイーヤシの木から収穫される、丸くて濃い紫色の果実です。
ちなみに学名は「Euterpe oleracea Mart.」といいヤシ科に属する植物です。
この果実は古くからその地域の先住民にとって重要な食料源で、植物のさまざまな部分に治癒力があるとされてき他歴史もあります。アサイーヤシ自体はなんと高さ25メートル以上にもなる細長い木で明るい緑色の葉を持ちます。
ベリーのようでベリーでない
果実そのものは「ベリー」と呼ばれていますが、実際にはドルーペ(核果)と呼ばれる種類の果実で、小さく丸い形をしており、中心に大きな種が一つ入っています。見た目はブドウに似ていますが、やや小ぶりで果肉の部分が少ないのが特徴です。
新鮮なアサイーベリーは収穫後1日以内に腐敗してしまうため、新鮮な状態で外国に持ち込むことはかなり難しいです。私もですが実際みなさんもスーパーで生のアサイーを見たことってないのじゃないでしょうか。
そのため、現在流通しているアサイー製品のほとんどは冷凍パルプ、粉末、またはサプリメントの形で販売されているというわけです。
アサイーってどんな味?
アサイーの味わいは、他の果物とは一線を画す独特なものです。
客観的にも調べてみたところ、アサイーの味は、ミックスベリー、ダークチョコレート、そして赤ワインの中間のような風味があると表現されることが多いようです。
フレーバーについてはしばしば土のような、あるいはより好意的に言えば大地を思わせる風味と表現されます。
完熟した果実として食べると、ほのかな甘みがありながらも少し酸味があり、土っぽい風味が感じられるかと思います。この独特な味わいは人によっては最初は慣れが必要かもしれませんが、一度好きになると病みつきになる人が多いようです。
酸味と甘みのバランスが絶妙で、そのままでは決して強い甘さではありません。むしろ、ナッツのようなコクと、ベリー系のほのかな酸味が混ざり合った複雑な味わいです。この独特の風味が、バナナやグラノーラ、はちみつなどの甘い食材と組み合わせると、絶妙なハーモニーを生み出すというわけです。
アサイーボウルやスムージーとして提供される際は、通常、他のフルーツやスイーツと混ぜられることで、より食べやすい味わいに調整されています。このため、アサイー本来の土っぽい風味は和らぎ、フルーティーで爽やかな味わいが前面に出てきます。
アサイーの歴史
アサイーの歴史は、先述の通り数千年前のアマゾンにまで遡ります。先住民はこの果実を長い間重要な食料源として利用し植物のさまざまな部分を民間療法にも使用してきました。
伝説によれば、アマゾンの熱帯雨林の先住民が飢饉の時代に苦しんでいた際、この紫色のベリーを発見したとされています。当時は「ĩwasa’i」というトゥピ語で呼ばれていました。これは「泣く果実」または「水を出す果実」という意味です。先住民たちは、この果実を神々からの贈り物として、飢餓から救ってくれた命の源と考えていました。
長い間、アサイーはアマゾン流域の地域住民の主食として、甘味を加えずにマニオク(キャッサバ)や魚などの主菜と一緒に食べられていました。これが、いわば「オリジナルのアサイーボウル」だったのです。
現代におけるアサイーの普及は、1970年代に始まります。1970年代初頭、冷凍アサイーパルプがアマゾンからブラジルの北部都市へ輸送され始めました。そして1980年代には大きな転機が訪れます。伝説的なブラジリアン柔術の創始者カルロス・グレイシーが、バナナと混ぜた冷凍アサイーパルプをリオデジャネイロなどの南部都市で広めた可能性が高いとされています。
1990年代には、ブラジルのサーファーやフィットネス愛好家の間でアサイーボウルのトレンドが広がりました。アサイーは、サーフィン後の爽やかで美味しい栄養補給として特に人気を博しました。
1990年代にアサイーベリーの健康効果に関する科学的関心が高まり、2000年頃からアサイー製品はアメリカ市場で人気を博し始めました。これらの製品は、運動能力の向上、高コレステロール、肥満、老化肌、メタボリックシンドローム、その他の症状に対して効果があると宣伝されてきました。
しかし、連邦取引委員会は、アサイーの減量製品を誤解を招く方法でマーケティングした企業に対して措置を講じています。科学的根拠に基づかない過剰な宣伝が問題視されたのです。
アサイーボウルとは何か

アサイーボウルは、冷凍して潰したアサイーヤシの果実で作られた料理です。見た目は鮮やかな紫色で、ボウルにスムージー状にして盛り付けられます。
その食感はブレンド前は粒状で、酸味からくる酸っぱさがあり、好ましい味わいを生み出しています。グアラナシロップや他の甘味料と混ぜられることもあり、一般的にグラノーラとバナナがトッピングされることが多いはずです。
基本的な作り方は、冷凍アサイーパルプを液体(アーモンドミルク、ココナッツウォーター、ヨーグルトなど)と一緒にブレンダーで滑らかになるまで混ぜます。好みに応じて他のフルーツ、例えばバナナやベリー類を加えることで、風味や栄養価をさらに高めることができます。
トッピングには無限の可能性があります。
定番のグラノーラとスライスバナナに加えて、イチゴ、ブルーベリー、マンゴー、キウイなどの新鮮なフルーツ、ココナッツフレーク、チアシード、カカオニブ、ナッツ類、はちみつやアガベシロップなどが使われます。見た目も鮮やかで美しいため、SNS映えする食べ物としても人気を博しています。
朝食やブランチ、デザートとして楽しまれています。オール天然素材な上にボリュームがあり満足感もあるため、健康志向の人々やアスリートに特に支持されています。
アサイーボウルの歴史【まさかのグレイシー柔術との関係!?】
アサイーボウルの歴史も実は厳密に考えると長いものです。アマゾンの先住民の伝統的な食べ方から、現代のインスタ映えする健康食品へと進化した興味深い物語ともいえます。
先住民、主にリベイリーニョスの人々は何世紀にもわたってアサイーベリーの恩恵を享受してきました。果実を厚いペースト状に潰して、栄養たっぷりの朝食用お粥として楽しんでいたのです。長年にわたり、地元の部族はアサイーを川沿いで他の食料や商品と交換して取引していました。
そして現代的なアサイーボウルへの転換は、1970年代初頭に冷凍アサイーパルプがアマゾンからブラジルの北部都市へ移動し始めたことから始まりました。
1980年代には、伝説的なブラジリアン柔術の創始者カルロス・グレイシーが、リオデジャネイロなどの南部都市でアサイーボウル(バナナと混ぜた冷凍アサイーパルプ)を広めた可能性が高いとされています。彼は「グレイシーダイエット」の一部として、格闘家たちにこれを紹介しました。
1990年代を通じて、ブラジルのサーファーやフィットネス愛好家がアサイーボウルのトレンドに参加し始めました。サーファーたちは、サーフィンセッション後の美味しく健康的な栄養補給として、冷たいアサイーの魅力に気づいたのです。
そして2000年代初頭、アサイーは海を越えてハワイに到達しました(2000年代初頭)。ハワイと南カリフォルニアが、アサイーボウルが本当に定着した最初の場所となりました。サーファーたちによって広められ、彼らはサーフィン後の美味しく健康的な栄養補給を求めていたのです。
二人のカリフォルニアの兄弟が、このエネルギーブースト効果のある組み合わせに感銘を受け、冷凍製品を輸入する方法を見つけました。その後、彼らは地球上で最も健康的な食品として売り込みました。
以上がその歴史です。
つまりアサイー果実は冷凍しない限りうまく輸送できないこともあり、オリジナルのアサイーお粥は、爽やかな冷たいスムージーボウルに変身し、新鮮なフルーツとカリカリのグラノーラで飾られるようになったというわけです。
こうして2010年代頃には、アマゾン発のニッチな文化だったアサイーボウルが、我らが日本も含めほとんど世界中でスーパーフードの料理としてのアイコン的地位を確立することに成功したのです。
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