アイスバイン ドイツを代表する煮込み料理
アイスバイン(Eisbein)は豚のスネ肉を煮込んだドイツの伝統料理です。
特にベルリンなどの北ドイツの名物である。この料理は豚のすね肉を熟成させ、柔らかくなるまで茹でたものです。
北のアイスバイン、南のシュヴァインシャクセ ドイツの2大ポークナックル
そしてアイスバインはポークナックルの一種といえます。ポークナックルとは豚の脚の下部、脛などを指す。
そしてその箇所を使った料理を示すことも多い。(時には脛だけでなく肩のあたりまで、脚全体を指すこともあります)
北側でよく食べられるアイスバインに対して、南部ではシュヴァインシャクセというやはり豚の脚のローストした料理が有名だ。
アイスバインとシュヴァインシャクセはどちらもドイツの伝統的な豚肉料理であり、北と南のドイツのポークナックル料理だといえる。
どの国でもそうだが、主に調理法と地域的な人気で違いがある。
アイスバインは、豚の関節肉を熟成させてから茹でた料理で、ザワークラウトやエンドウ豆のピューレと一緒に供されることが多い。
まt熟成させることで、肉は少し塩辛い味になる。アイスバインは英語でいえばアイスレッグであり、冷やして保存、熟成させた脚といった由来からそう呼ばれる。

バイエルン料理 シュヴァインシャクセ
一方、シュヴァインシャクセは、ローストした豚肉料理だ。
白いアイスバインと違って外側の皮は茶色くパリパリになり、中の肉は柔らかくジューシーなままである。
同じポークナックル料理であってもこちらはクリスマスの七面鳥や北京ダックのような見た目に近く、白やピンク色のアイスバインとは見た目で明らかに異なる。

ちなみにドイツ南部といったが、より具体的にはバイエルンである。
ディズニーのシンデレラ城のモデルの白い城ノイシュヴァンシュタイン城や、デザートのババロア、そしてビールのオクトーバーフェストなどでも有名な地域だと思う。(今ふと浮かんでピアノのバイエルの教本も関係があるかなと調べたらそれはただの個人の名前で関係はなかった。笑)

シュヴァインシャクセはビールやニンニクなどの香辛料で味付けしてから焼く。またポテト団子やパン団子、コールスローと一緒に食べることが多い。
ザウアークラウトもアイスバインのように付け合わせでよくあるものだ。しかしドイツではソーセージでもザウアークラウトは一緒によく出るので、あえて言及する必要はないかもしれない。
こちらは実際の様子だ。Bavarianとタイトルにあるが、ババリアは英語でのバイエルン州のことである。デザートのババロアの語源もこういうことだ。(余談だがバイエルンの州都のミュンヘンも英語だとミューニックとなったり結構呼び方が変わる地域の印象だ。)
歴史的には
食料が不足していた時代、豚のほとんどすべての部位が利用された。肉を熟成させることで、冷蔵せずに肉を保存することができる。
アイスバインはもともと農民たちや貧困な状況にある人たちの料理だったが、長い年月を経てドイツ料理を代表するメインディッシュの一つとなったわけだ。
一般的なアイスバインのレシピ
一般的にはこのような感じの作られ方である。
材料
- 豚のすね肉 1~2本(大きさや必要量による)
- ブイヨン
- ローリエ1~2枚
- ジュニパーベリーの実 少々
- コショウの実 少々
- 粗みじん切りにした玉ねぎ1~2個
お好みで:ニンジン、セロリ、玉ねぎ(風味付けのため
ジュニパーベリーの実はあまり馴染みがない方も多いと思う。ドイツ料理や北欧料理でよく使われる実の調味料である。主に肉料理やマリネ、他にはシチューやハーブティーでも使われることがある。広めのスーパーマーケットに行くと調味料の棚に普通にあったりする。
個人的な話だが、あまりみんな使わないからか近所のスーパーで3割引になっていたので、よくわからず昔衝動買いしたものを自分は持っていたりする。
手順
まず豚のすね肉をよく洗う。余分な塩分を取り除くために水に浸す。生ハムでない場合はそのまま使用できる。
大きな鍋にすね肉を入れ、すっぽりかぶるくらいの水、ブイヨンを加える。ローリエ、ジュニパーベリー、粒胡椒、粗みじん切りにした玉ねぎを加える。お好みで他の野菜も加えると風味が増す。
あとは沸騰したら弱火で2~3時間、肉が柔らかくなるまで煮込むだけだ。肉は骨から簡単に落ちるほど柔らかくなる。
アイスバインは伝統的にザワークラウトとエンドウ豆のピューレと一緒に食べる。
コツやポイント
美味しくする秘訣はなんといっても低温でじっくり煮込むことにある。こうすることで肉が柔らかくジューシーに仕上がるでしょう。
アメリカにも輸出している日本の有名レトルトカレー商品、バーモントカレーのようにリンゴと煮込むこともあります。(ちなみにバーモントカレーはバーモント州にはない。。)
注意事項としては調理時間は肉の大きさによって異なるので、調理中は定期的に肉の状態をチェックすることが重要である。
アイスバインで使う肉の大きさは他の料理ではあまり使用されない大きさのものだと思うので、ゆで加減が少し難しい。
より正統派でしっかり作る人は豚肉を調理する前に塩漬けにすることもある。熟成には数日かかるので、事前に計画を立てての長期戦となる感じです。
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追記:アイスバインを家庭で作る場合の補足
圧力鍋の活用法
アイスバインの最大のハードルは長い煮込み時間ですが、圧力鍋を使えば調理時間を大幅に短縮できます。通常2〜3時間かかる煮込み時間が、圧力鍋なら約45分〜1時間で済みます。
圧力鍋を使う際のポイントは、まず強火で圧力をかけた後、弱火にして15〜20分加熱し、その後自然減圧させること。急激に減圧すると肉が硬くなってしまうため注意が必要です。また事前に肉に切り込みを入れておくと、より味が染み込みやすくなります。
日本での材料代用案
日本でアイスバインを作る場合、豚のすね肉が手に入りにくいことがあります。その場合は豚バラブロックや豚の肩ロースで代用できます。特に骨付きの肩ロースは食感が近くなります。
またジュニパーベリーが入手困難な場合は、ローズマリーとレモンの皮を合わせて代用すると近い風味になります。それでも物足りない場合は、少量のジンを加えるとジュニパーベリーの風味に近づけられます。ジュニパーベリーはジンの香り付けにも使われている素材だからです。
コラム【世界各国のポークナックル料理との比較】
チェコのコレノ
ドイツの隣国チェコでは「コレノ」と呼ばれるポークナックル料理があります。
アイスバインと似ていますがこちらは調理法に大きな違いがあります。コレノは主にオーブンでローストされ、ニンニクとキャラウェイシードで味付けされるのが特徴です。どちらかというとシュヴァインシャクセよりでしょうか。
チェコはドイツよりもビールを飲む国としても有名ですが、チェコビールとの相性が抜群でプラハの旧市街にあるレストランでは必ずと言っていいほどメニューに載っています。
コレのの見た目はシュヴァインシャクセに近いですが、香辛料の使い方に地域性が表れている料理といえるでしょう。
中国の東坡肉(トンポーロー)

東アジアでも豚の脚を使った料理は多く、中国の東坡肉(トンポーロー)もその一つです。
こちらは豚の脚部分をじっくりと醤油や砂糖、香辛料で煮込んだ料理で、柔らかく甘辛い味わいが特徴です。これは2000年代以降くらいから日本のコンビニのレジ横のおまんじゅうコーナーにトンポーローマンとして売られているのでそれでご存じの方も多いんじゃないでしょうか。
アイスバインが塩味を基調としているのに対し、東坡肉は甘味も加わった味わいです。また調理法も違い、煮込んだ後に蒸すという二段階の調理を行うことで、より柔らかい食感を実現しています。
トンポーローとはちなみにローはチンジャオロースのローと同じで肉ですが、トンポーのところは中国の詩人の名前です。国語の漢文などでもお馴染み?の蘇東坡さんの名前、東坡から来ています。
フィリピンのクリスピーパタ
フィリピンの「クリスピーパタ」は豚の脚を茹でた後に揚げることで、外はカリカリ、中はジューシーに仕上げる料理です。まさにシュヴァインシャクセと同じような感じですが、調理法は全く異なります。
サワーソースやビネガーベースのディップと一緒に食べるのが一般的で、酸味と組み合わせることで脂っこさを中和しています。アイスバインやシュヴァインシャクセがビールと合うのに対し、お酒を合わせるならばクリスピーパタは意外にさっぱりとした白ワインなどが好相性かもしれません。
以上、追記も含め、世界のポークナックル料理でした。
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