キムチ 壮観なキムジャン祭り。糸を引くけど食べられる?なぜリンゴ?

キムチ 壮観なキムジャン祭り。糸を引くけど食べられる?なぜリンゴ?アジア

韓国を象徴する料理

朝鮮半島の定番の漬物であるキムチは、大胆でピリッとした辛味で知られる発酵野菜料理です。

韓国の長い食品保存技術の粋が詰まった料理です。キムチは漬物ですが欧米の人にとってのピクルスや、ドイツ人にとってのザウアークラウトと比べても扱いが違います。もっと朝鮮半島の食卓においてより中心的な立場にある食べ物です。

家にはキムチ専用の冷蔵庫があるほどで、ごはんと並んで日常的に食べるようです。そして韓国料理の代表、ビビンバや北朝鮮の料理の代表、冷麺にキムチは載ることもあり、韓国と北朝鮮両国の食事にとって最も欠かせない料理といえるでしょう。

赤くないキムチ? キムチのルーツ

キムチのルーツは2,000年以上前にさかのぼると言われている。韓国の歴史に深く関わっているようです。当初は野菜を塩漬けにしただけのもので、厳しい冬に欠かせない保存食でした。

この頃までは他の国や地域にもよく見られるピクルスとあまり見た目に際立った違いのあるものではなかったといえます。

そして現在のキムチの代名詞ともいえる唐辛子を入れるようになったのははるか遠くアメリカ原産の唐辛子がついに朝鮮半島に渡ってきた17-18世紀ごろの時代からです。この唐辛子によってキムチは現在のような鮮やかな色の料理へと変貌を遂げたのです。つまりここ200年のキムチが赤いので我々は赤いキムチがキムチだと思ってしまいますが、キムチの歴史全体の視点からいえば白キムチが9割であり、赤いのは近年での驚きの変化なのです。

キムジャン

これは晩秋に行われる冬を越すための大量にキムチを作る共同作業です。2013年にはユネスコの「人類の無形文化遺産」に登録されたそうです。この写真では人数が少ないですが、大規模なものだと大勢の女性が広場や広い室内スペースに集まります。来年春までの分のキムチを大量の白菜から製造する光景で圧巻です。

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キムチ作りに必要な材料は、白菜や大根、唐辛子、ニンニク、生姜、ネギ、チョッパル(魚介類の塩漬け)などです。野菜は塩漬けにし、他の材料と混ぜ合わせます。この混合物を数日から数週間発酵させることで風味が増し溶け合うのです。

キムジャンフェスティバルの様子。服まで赤と緑でキムチ色である。

白菜キムチ以外にも 色んな種類

キムチには様々なものがあります。一般的には、白菜キムチ(ペチュキムチ)がよく知られています。

他にも比較的有名なカットゥギ(カクテキ、大根のキムチ)、オイキムチ(キュウリのキムチ)、またナスやネギのキムチもあります。

もちろん地域ごとに独自のスタイルもあります。海産物が豊富な沿岸部では、新鮮な牡蠣やイカを使ったキムチがよく作られます。対照的に山間部では葉物野菜や野生の根菜類がよく使われるようです。

キムチのプロバイオティクス

発酵食品であるキムチには、健康な腸内環境を促進するプロバイオティクス(善玉菌)が豊富に含まれています。いくつかの研究では、キムチを定期的に摂取することで消化を助け免疫力を高め、さらには肥満や心臓病と闘うことができる可能性があることも示唆しているそうです。キムチの乳酸菌は他のピクルスと同じく植物性乳酸菌です。ヨーグルトなどの動物性の乳酸菌より植物性の乳酸菌は腸内で生存力が高く腸内環境を整えるのに都合がいいようです。

キムチが糸を引く?

キムチが糸を引く現象はいろんな要因によって引き起こされます。主な原因は以下の通り。

乳酸菌の種類と増殖: 特定の乳酸菌、特にリューコノストック属の乳酸菌は、粘り気を出す性質があります。この菌が増殖すると、キムチが糸を引く状態になります。

増粘剤の使用: キムチのたれに使用される増粘剤が多すぎると、糸を引く原因になります。増粘剤は水分と反応してトロミをつけるため、過剰に使用されるとキムチ全体がネバネバし、糸を引くことがあります。

昆布などの原材料: 昆布にはフコイダンやアルギン酸といった成分が含まれており、これらが時間と共に水分と反応してヌメリを生じさせます。

発酵過程: キムチは発酵食品であり、微生物によっても糸を引くことがあります。

ということで、糸を引くキムチは見た目や食感に異常を感じるものの、必ずしも食べられないわけではありません。

糸を引く原因が安全な乳酸菌や原材料に由来する場合は食べても害はないとされているようです。ただし、見た目や食感が通常とは異なるため、好ましくないと感じる人もいるでしょう。。

糸を引くキムチの確認法

腐敗したキムチと糸を引くキムチを区別するための一般に注意すべきポイントはこちらです。

臭い: 腐ったキムチは異臭がすることがあります。正常なキムチは発酵臭がしますが、不快な腐敗臭はありません。
色やカビ: 腐敗したキムチにはカビが生えたり、不自然な変色が見られることがあります。
味: 腐ったものは苦味や異常な酸味を感じることがあります。

これらの点がチェックポイントとなります。もし不安であればやめておくか、食べる前に製造元に問い合わせることをお勧めします。

個人的には買ってすぐに開けたばかりのキムチにはない変化があって、それが賞味期限が過ぎてしまっていたら勿体なくても食べないことをおすすめします。

キムチにリンゴ なぜ?

キムチにリンゴを入れることは少なからず行われているアレンジです。

その理由は主に味と発酵過程での役割にあります。リンゴはキムチに自然な甘みと爽やかさを加え、辛さを和らげて全体の味のバランスを整えるのに寄与します。発酵が進むにつれて、リンゴの甘みがキムチとよく調和し、深い味わいを生み出すようです。

また、リンゴにはビタミンCや食物繊維が豊富に含まれており、キムチの栄養価を高める効果もあります。基本的にリンゴを入れるバーモントカレー的な役割と考えると自然かもしれません。

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