【ケーキ】世界のケーキ クラブジャムンからブラックフォレスト?【パート2】

【ケーキ】世界のケーキ クラブジャムンからブラックフォレスト?【パート2】 ヨーロッパ

【世界のケーキ】パート2【クラブジャムン?ブラックフォレスト?】

インド料理にケーキはある?

学生:そういえばインドのケーキはどうです?

先生:ないといえばないですが、あるといえばあります。

というのもホールケーキのような形はしてないのですがインド人は甘いものが辛いものと同様に好きです。モンブランやカップケーキ、ムースやロールケーキもケーキと言われますし、そう考えるとインドもケーキ大国といえるのかもしれません。

学生:具体的にはどんなのです?

先生:バーフィーと呼ばれるミルク系のお菓子から、グラブジャムンと呼ばれるシロップに浸した生地を揚げたものまで、さまざまなお菓子があるのです。

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特にグラブジャムンは、日本人にはあまり馴染みがないかもしれませんがインドを代表する甘いデザートでミルクの固形分から作った小さな生地を揚げ、砂糖とカルダモンやローズウォーターなどで香り付けしたシロップに浸したものです。

このように見た目はドーナツの穴のようなボール状で、食感はしっとりとしていて、口に入れるとシロップの甘さが広がります。

学生:お団子みたいです。

先生:インドのお菓子の特徴は、乳製品をベースにしたものが多い点でしょうかね。

例えば「ラスマライ」は、チーズのような凝固させたミルクを砂糖シロップで煮てサフランやカルダモンで香り付けした贅沢なデザートです。これらは西洋のケーキとは作り方も食感も全く異なりますが、特別な日に楽しむ甘いデザートとしての役割は同じといえるでしょう。

南北アメリカ大陸のケーキバリエーション

先生:そうだ、アメリカ大陸も忘れてはいけませんよ、USAのアップルパイやチーズケーキが有名ですが、メキシコではトレスレチェス・ケーキが人気です。これはエバミルク、コンデンスミルク、生クリームの3種類のミルクを染み込ませたスポンジケーキです。

学生:あんこ、シロップ、ミルクなど場所が変わると想像もつかない変化があるのですね。

先生:バリエーションは無限大です。実はラテンアメリカのケーキ文化は、スペインやポルトガルの影響を色濃く受けながらも、地元の素材や味覚と融合して独自の発展を遂げています。

例えば、ブラジルの「ボロ・デ・フバ」はキャッサバ芋の粉を使ったケーキで、しっとりとした食感が特徴です。また、アルゼンチンの「アルファホーレス」は、2枚のクッキーの間にドゥルセ・デ・レチェ(練乳を煮詰めたキャラメル状のもの)を挟み、周りをココナッツなどでコーティングした伝統的なお菓子です。

北米に目を向けるとアメリカのケーキ文化も多様で例えば南部発祥の「フンミングバードケーキ」は、バナナ、パイナップル、クルミを使った甘くてスパイシーなケーキで、たっぷりのクリームチーズフロスティングが特徴です。カナダでは「ナナイモバー」というチョコレートとカスタードの層が重なったデザートが国民的な人気を誇っています。

技術とデザイン:進化するケーキの芸術性

ケーキデコレーションの発展と現代のトレンド

先生:その上ケーキ作りの技術やデコレーションも時代とともに進化しています。フォンダンアイシングってご存知ですか?

学生:祝い事など豪華なケーキのデコレーションに使う、装飾のアイシングでしたっけ?彫刻のような。

先生:そうです。そのフォンダンアイシングをはじめ、バタークリームのパイピング、シュガーフラワー、マジパンのシェイプなど、ケーキのデコレーションが昔より一層芸術的になっていますよ。

ケーキデコレーションの歴史は18世紀にまで遡り、初期は単純な砂糖のアイシングが主流でしたが、19世紀後半から20世紀にかけて、パイピング技術やシュガークラフトが発展しました。特に英国の伝統的なロイヤルアイシング(卵白と砂糖を使った硬化するアイシング)は、ビクトリア時代に確立された技術で、現在でも結婚式のケーキなどで使われています。

現代では3Dプリンターを使ったケーキデコレーションや、エアブラシを使った繊細なカラーグラデーションなど、テクノロジーの進化によりさらに表現の幅が広がっています。特に近年は「ドリップケーキ」(ケーキの上部からアイシングを流して垂らす装飾)や「ナケッドケーキ」(あえて側面のクリームを薄くして生地を見せるスタイル)など、自然でカジュアルな雰囲気のデザインが人気を集めているんですよ。

ケーキコンテストとメディアの影響

先生:ケーキのデザインは今やイベントとなり、ヨーロッパでは「Cake Boss」や「The Great British Bake Off」のようなケーキ専門のコンテストやテレビ番組があるほどです。

学生:日本では昔テレビチャンピオンという番組でそういうのをしていましたが最近はないですね。でも私の知り合いの製菓学校の友達などは卒業制作や学校のイベントで凄いケーキを作って競っていましたよ。

先生:私は手のかかったガウディの彫刻のような凄いケーキを作られるともったいなくて食べられませんよ。

学生:同感です。食べられるもので作られていますけどもったいなくなってしまいますね。

実はケーキコンペティションの歴史も古く、19世紀後半のヨーロッパでは、貴族や王室のパティシエによる腕の競い合いが行われていました。現代では、国際的なコンペティションで優勝することがパティシエのキャリアを大きく飛躍させる機会となっています。

特に「ワールド・チョコレート・マスターズ」や「ワールド・ペイストリー・チーム・チャンピオンシップ」などの国際大会では、単なる美味しさを超えた、芸術性や技術の高さが求められます。日本からも毎年優秀なパティシエが参加し、世界を驚かせる作品を生み出しているんですよ。こうしたコンペティションは業界のトレンドを生み出す場でもあり、ここから生まれた技術や美的感覚が一般のケーキショップにも広がっていくという流れがあります。

ケーキの科学と人気バリエーション

ケーキ作りの基本と科学的原理

先生:ついでにケーキの科学に焦点をあててみましょう。基本的なことですがおいしいケーキは、材料を一定の順序でバランスよく混ぜ合わせ、ちょうどいい温度で焼くことが大切です。

まず、ベーキングパウダーや重曹などの膨張剤があります。これらは成分は厳密には微妙に違うのですがほとんど同じです。要するに熱を加えるとこれらは炭酸ガスを放出するのです。そのためケーキを膨らませる効果があります。

少し補足すると、ベーキングパウダーは酸性成分と塩基性成分(重曹)が混合されたもので、液体と接触すると反応して二酸化炭素を発生します。一方で重曹(炭酸水素ナトリウム)単体では、酸性の材料(バターミルク、ヨーグルト、チョコレートなど)と組み合わせたときに反応して膨らみます。適切な膨張剤の選択と分量は、ケーキの質感を大きく左右するんですよ。

次に、バター、オイル、ショートニングなどの油脂です。バターやオイル、ショートニングなどの油脂類は、しっとりとした食感に仕上げます。砂糖は甘みだけでなく、焼き色をつけたり、ケーキの骨格を作ったりもしますね。

学生:砂糖の役割は甘味だけじゃないんですね。

先生:そうです。また、卵も重要な要素のひとつです。卵は構造、膨張剤、風味、色彩を提供します。卵白を泡立てて空気を含ませることで、ケーキを軽くてふわふわに仕上げることができます。

そして小麦粉はケーキの形を作るものです。しかし、多すぎるとケーキが固くなるので、正しく計量することが大切です。以上のような基礎の元に色々なバリエーションがあります。

学生:いやあ、ケーキ作りは本当にサイエンスですね。

先生:そうなんですよ。余談ですが私の高校では料理部の顧問を家庭科の先生ではなく化学の先生が実際にやっていましたよ。

料理と化学の関係は深く特に製菓は化学反応の連続です。例えば卵白を泡立てる際には、タンパク質が変性して空気を閉じ込める構造を作りますが、これは化学的なプロセスです。また砂糖が加熱によりカラメル化する反応(メイラード反応)も、食品化学の観点から見ると非常に興味深い現象です。

製菓学校では、基本的な調理技術だけでなく、材料の化学的特性や反応についても学ぶことが多いですね。最適な温度管理や材料の配合比率を理解することで、失敗のないケーキ作りが可能になるのです。

世界的に人気のチョコレートケーキ

先生:では、具体的なケーキの話をしましょう。先ほども言及しましたが多くの人に親しまれているチョコケーキのタイプに「ブラックフォレストケーキ」があります。ドイツ発祥でチョコレートのスポンジケーキを重ね、その間に生クリームとチェリーを挟んだものです。

ブラックフォレストケーキ(ドイツ語でシュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ)の名前は、ドイツ南西部にある黒い森(シュヴァルツヴァルト)に由来しています。伝統的なレシピでは、地元のキルシュヴァッサー(サクランボのブランデー)を使うのが特徴です。日本では「黒い森」と訳されることも多いですね。

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そして、真っ赤な色とベルベットのような食感が特徴的な「レッドベルベットケーキ」も有名です。

こちらはアメリカ発祥の有名チョコケーキですね。クリームチーズのフロスティングと一緒に食べることが多いです。この赤い色は、もともと酢とバターミルクの酸に、ココアパウダーの色素であるアントシアニンを反応させたものです。しかし最近では食用色素を使うことも多いですね。

学生:ふむふむ。

レッドベルベットケーキは、アメリカ南部で1940年代に人気が高まったと言われていますが、実際の起源については諸説あります。ウォルドルフ・アストリアホテルのシェフが考案したという説や、第二次世界大戦中の食料配給の時代に、限られた材料で見栄えのする特別なケーキを作るために赤い色素を使ったという説もあります。

現代では、レッドベルベットの鮮やかな赤色は食用色素を使用することが一般的になっていますが、伝統的なレシピでは少量のココアパウダーと酢やバターミルクの化学反応による自然な発色を利用していました。この反応で生まれる赤褐色は現代の鮮やかな赤色とは異なりますが本来の「ベルベット」のようななめらかな食感は同じです。

チーズケーキ:ケーキか、それとも別物か

先生:そうだ、チーズケーキは他のケーキとはかなり違うものなんですよ。小麦粉を使った生地ではなくクリームチーズやリコッタなどの柔らかいチーズと卵、砂糖で作ったフィリングを、砕いたグラハムクラッカーやクッキーで作った皮の上に乗せたものです。

学生:言われてみれば異質ですね。形はケーキなのでケーキの一種類として見ていましたが、材料で考えると他のケーキとは随分違う食べ物ですね。

先生:それにチーズケーキはチーズケーキだけでも種類が沢山ありますしね。ベイクドチーズケーキ、レアチーズケーキ、日本のチーズケーキ、ニューヨークのチーズケーキ、、

学生:マーベルユニバースの中にXmenシリーズがあるような感覚ですね。

先生:急な例えですね。。ここらで切り上げてお腹も減ってきたしマカロンでも食べにいきましょうか。

学生:あれもケーキですかね…?

チーズケーキの歴史は意外と古く古代ギリシャで既に似たようなデザートが作られていたという記録があります。紀元前776年の最初のオリンピック競技で選手たちにエネルギー源として提供されていたという説もあるほどです。

現代の主なチーズケーキのスタイルには大きく分けて、以下のようなバリエーションがあります:

  • ニューヨークスタイル:濃厚でクリーミーなクリームチーズベースで、焼き上げたタイプ。
  • イタリアンスタイル:リコッタチーズを使用した軽い食感のもの。
  • フランススタイル:ヌーシャテルチーズを使用した繊細な味わいのもの。
  • 日本スタイル:スフレのように軽くふわふわした食感が特徴。
  • ノンベイク(レア)チーズケーキ:焼かずに冷やして固めるタイプ。

日本のチーズケーキは色々なバリエーションがありますが、特に「スフレチーズケーキ」と呼ばれる軽い食感のものが人気で、これは特に日本独自の発展を遂げたスタイルと言えるのではないでしょうか。

ケーキに関するよくある質問

Q: どうしてケーキは特別なお祝いの象徴になったのですか?

A: ケーキが特別なお祝いの象徴になった理由はいくつかあります。まず、昔は砂糖や小麦粉などの材料が高価だったため、ケーキは特別な日にだけ作られる贅沢品でした。また、円形のケーキは太陽や生命の循環を象徴し、キャンドルを灯すという行為には邪気を払い幸福を招くという意味合いもありました。さらに、大きなケーキを家族や友人と分け合うという行為自体が、喜びや祝福を分かち合うという社会的な意味を持っています。

Q: ケーキを作る際の一般的な失敗とその対処法は?

A: ケーキ作りでよくある失敗には、ケーキが膨らまない、真ん中が落ち込む、固くなりすぎるなどがあります。膨らまない場合は古い膨張剤を使っていないか確認し、真ん中が落ち込む場合はオーブンを途中で開けないこと、固くなりすぎる場合は小麦粉を混ぜすぎないようにすることが大切です。

また、材料は室温に戻してから使用し正確に計量することもポイントです。失敗しても諦めずに、次回は調整してチャレンジしてみましょう。

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