【今更聞けない】ステーキの全て【歴史から世界のステーキ文化まで】

食事をする人々、白いマットのテーブルの上にステーキなどの料理 その他

人類が初めて火で肉を焼いたことから始まったステーキの文化は世界各地で独自の発展を遂げてきました。「ステーキ」という言葉は古ノルド語のsteik(串に刺して焼いた肉)に由来し、南北アメリカ大陸やヨーロッパを中心に、ほぼ世界中で一般的な食べ物として親しまれています。

本記事ではステーキの歴史から世界のステーキまで、意外と知らない文化とその全容に迫れればと思います。

ステーキの起源と世界への広がり

原始的肉料理から世界的料理まで

ステーキの歴史は人類が火を使い始めた原始時代にまで遡ります。当初は単に肉を火で焼くだけの調理法でしたが様々な技術の進歩により現在のような形が確立されました。

ステーキは世界中の多くの食文化で重要な位置を占めています。アメリカではバーベキューの伝統の中心となり仲間意識やもてなしのシンボルとなっています。

アルゼンチンのような牛肉の産地として名高い国ではステーキはアメリカと同じか以上に食文化の根幹ともいえます。フランスでは独自の調理技術やソースで洗練されたステーキ文化を発展させてきました。

このようにステーキはその地域の歴史、ライフスタイル、価値観を映し出す文化的アイコンという側面があります。

19世紀のアメリカでは鉄道の発達により牛の長距離輸送が可能になってステーキハウスが誕生しました。一方アルゼンチンなど南米ではヨーロッパからの移住者たちが持ち込んだ食の技術が、現地の食文化と融合し独自のステーキ文化を形成しました。

また、これはトリビアですがフランス料理のステーキメニューの「フィレミニョン」はフランス語でかわいいフィレという意味ですが、実際にはフランスではなくアメリカで生まれた呼称だったりもします。

ステーキは世界中で楽しまれていますがその消費量や人気は地域によって大きく異なります。

アメリカ、アルゼンチン、そしてオーストラリア、ヨーロッパの一部など、牧畜の伝統が強い国々ではステーキを食べることは日常生活の一部となっているといえるでしょう。

ステーキの種類と調理法

世界各地の代表的なステーキ

ステーキの種類は、その地域の畜産事情や食の嗜好によって様々です。アメリカではTボーン、リブアイ、フィレミニョンなどが有名ですが、地域によって異なる好みがあります。

南米ではアルゼンチンのビフェ・デ・チョリソ(サーロイン)やブラジルのピカーニャ(ランプ)が地元の嗜好を反映しています。

ヨーロッパでは、イタリアのフィオレンティーナ(サッカーチームみたいですが、これはT字型の骨を残したロースです)やフランスのアントルコート(リブロースに相当)といった名物料理があります。

ステーキの調理に使われる材料と味付け

ステーキの主役は牛肉ですが、その味を引き立てるためにさまざまな材料が使われます。基本的な味付けは塩と胡椒が一般的でタイム、ローズマリーなどのハーブやニンニクといった香辛料も好まれます。

文化圏によってはオリーブオイルやレモン汁などのシンプルなものから複雑なハーブやスパイスを組み合わせたマリネまで、様々な味付けが施されます。マリネはステーキに風味を加えるだけでなく肉を柔らかくする効果もあるため、特に堅い部位の肉を調理する際によく使われる方法です。

多様な調理法とテクニック

ステーキの調理はそれ自体が芸術とも言え、世界各地で様々な技法が発達しています。アメリカンスタイルではグリルやブロイル(上火で焼く方法)を用いレア(赤身が多い)からウェルダン(完全に火が通った状態)まで様々な焼き加減を楽しみます。

アルゼンチンでは「パリージャ」と呼ばれる特殊な焼き網を使用し薪や炭火でじっくりと焼き上げるのが伝統的です。一方で日本の和牛料理では霜降りの多い高級肉を薄くスライスし、鉄板でさっと焼く鉄板焼きスタイルも一般的ですね。

ステーキを楽しむための知識

理想的なステーキの焼き加減とは?

Q: ステーキの焼き加減にはどのような種類がありますか?

A: 一般的なステーキの焼き加減には、レア(中心部が赤く、温度は約50℃)、ミディアムレア(中心部が赤っぽいピンク色、温度は約55℃)、ミディアム(中心部がピンク色、温度は約60℃)、ミディアムウェル(中心部が薄いピンク色、温度は約65℃)、ウェルダン(中心部まで完全に火が通った状態、温度は約70℃以上)があります。

Q: 最も美味しいステーキの焼き加減はどれですか?

A: 最も美味しい焼き加減は個人の好みによって異なります。ただ、多くの肉の専門家やシェフは、肉の旨味と柔らかさを最大限に引き出すにはミディアムレアがベストだと考えています。特に高級な赤身肉の場合、過度に焼くと硬くなり風味が損なわれることがあります。

Q: 家庭でステーキを焼く時のコツはありますか?

A: 家庭でステーキを焼く際のコツとしては、①肉を調理前に室温に戻しておく、②フライパンや鉄板を十分に熱してから肉を入れる、③肉の表面をしっかりと焼き付けてから中温で調理する、④焼いた後は「休ませる」時間(5〜10分)を設け、肉汁を均等に行き渡らせることが挙げられます。

ステーキのペアリング: 相性の良いサイドメニューとソース

ステーキには様々なサイドディッシュやソースが合います。アメリカではマッシュポテト、グリルした野菜、シンプルなサラダなどが定番の付け合わせです。これらはステーキの濃厚な味わいを引き立て、バランスの取れた食事となります。

地域によって特徴的なソースも発達しています。アルゼンチンのチミチュリは、パセリやオレガノ、ニンニク、唐辛子などをオリーブオイルと酢で和えたピリッとしたソースで、肉の風味を引き立てます。フランスのベアルネーズソースは、卵黄とバターをベースにしたリッチな味わいのソースで、高級レストランでしばしば提供されます。

飲み物との相性も重要で、赤ワインとステーキの組み合わせは古典的な名コンビです。特に、タンニンを多く含むフルボディの赤ワイン(カベルネ・ソーヴィニヨンやマルベックなど)はステーキの脂肪と絶妙に調和します。ビールや日本酒など、地域の飲み物との組み合わせも楽しまれています。

ステーキにまつわる豆知識

ステーキには多くの興味深いトリビアがあります。例えば「ステーキ」という言葉は牛肉だけでなくマグロのステーキや鹿肉のステーキなど、様々な肉や魚に適用されることがあります。

これは「厚く切った肉や魚」を表す言葉として広く使われるようになったためです。

最も高価とされるステーキの一つはやはり今や世界的ビーフとなった日本の神戸牛です。特別な飼育方法や手間のかかる生産過程から、1ポンド(約450グラム)あたり数百ドルもする場合があります。日本の和牛はその霜降りの美しさと口の中でとろける食感から世界中の人に珍重されています。今やこれを食べに来るのを主目的として日本に来る人も少なくないほどです。

肉の「熟成」も興味深いプロセスです。適切な温度と湿度で数週間から数ヶ月間保管することで、肉の酵素が筋繊維を分解してより柔らかく風味豊かな肉質になります。エイジングにはドライエイジングとウェットエイジングの2種類があってそれぞれ独特の風味をステーキにもたらします。

ステーキの美味しい食べ方と選び方

理想的なステーキの選び方

良質なステーキを選ぶポイントはいくつかあります。まず、肉の色が鮮やかな赤色で、脂肪部分が白いか淡いクリーム色であることが重要です。黄色っぽい脂肪は古くなっている可能性があります。

マーブリング(霜降り)の量も重要な要素です。適度に脂肪が均等に分布していると、焼いたときにジューシーで風味豊かなステーキになります。ただし、好みによって脂肪の量は異なるので、赤身が多いものから霜降りが豊富なものまで、自分の好みに合わせて選ぶとよいでしょう。

ステーキの切り方によっても特徴が大きく異なります。リブアイは風味が豊かで脂肪が多め、フィレ(ヒレ)は最も柔らかいが風味はやや控えめ、サーロインはその中間的な特徴を持っています。料理の目的や好みに合わせて適切な部位を選ぶことが、満足のいくステーキ体験への第一歩です。

家庭でできる簡単ステーキレシピ

それでは最後に一つレシピ紹介を。

家庭でも簡単に美味しいステーキを作ることができます、以下はかなりベーシックなレシピです。

材料(2人分):

  • ステーキ肉(リブアイやサーロイン)2枚(各約200g)
  • 塩、黒胡椒 適量
  • オリーブオイル 大さじ1
  • バター 20g
  • ニンニク 2片
  • ローズマリーやタイム 少々

作り方:

  1. 肉を冷蔵庫から出し、30分ほど室温に戻します。
  2. 肉の表面の水分をキッチンペーパーでしっかり拭き取り、塩と胡椒で全体に味付けします。
  3. フライパンをよく熱し、オリーブオイルを入れます。
  4. 肉を入れ、強火で片面1〜2分ずつしっかりと焼き付けます。
  5. 火を中火に落とし、バター、ニンニク、ハーブを加えます。
  6. バターが溶けたら、そのバターを肉の上にスプーンで何度もかけながら、好みの焼き加減まで焼きます。
  7. 焼き上がったら肉を取り出し、アルミホイルで軽く覆って5分ほど休ませます。
  8. 食べやすい大きさに切り分けて、お好みのソースや付け合わせと共に提供します。

この基本のレシピをマスターしたらマリネや各種スパイス、また、大根おろしやわさび醤油や山椒で和風にするなり、カレー系のカルダモンなどのスパイスをかけるなり、自分なりのアレンジを加えてみるのも楽しいはずです。

最古の料理の一つともいえるものなのであまり格式ばらずに自分好みの味を楽しみましょう。