実は100年に満たないナチョスの歴史
スポーツ観戦などの定番おつまみであり、テキサスとメキシコのフュージョン料理、テックスメックスを代表する一皿であるナチョス。
1940年代、メキシコのピエドラス・ネグラス。この国境の町でナチョスは誕生した。
ビクトリークラブのマイスター、イグナシオ・ナチョ・アナヤが、隣接するアメリカのテキサス州のダンカン砦に駐留する米兵の妻たちのために考案した料理である。
余談だがナチョ、というのはジョナサンをジョンと呼ぶような愛称である。イグナシオのナシオの部分がナチョになる訳だ。
アナヤはトルティーヤチップスを皿に並べ、シュレッドチェダーをまぶして焼いた。そして、更にハラペーニョをトッピングした。こうして、「ナチョズ・スペシャル」、後に「ナチョス」が誕生したのである。

そして今やそのシェフの気まぐれ料理は起源を越えて世界中のスポーツ競技場、映画館、家庭で定番となった。スーパーボウルでのパーティーで楽しんだり、自宅で映画鑑賞をしたり、夜食として食べたりと、ナチョスは食文化(特にくつろいでいるときの、特にソファーにいるときの)に欠かせないものとなっています。
ナチョスの変容
また無数の地域的なバリエーションを生み出してきました。例えば、テキサス州の「ボールパークナチョス」は、溶けたチーズソースとハラペーニョのピクルスがかかっており、オリジナルレシピの焼いたチーズとはかけ離れている。
ハワイでは、パイナップルを加えて独自のアレンジを加えている。さらに、甘いシナモンのトルティーヤチップスにチョコレートやキャラメルソースをかけ、粉砂糖をまぶしたデザートバージョンもある。
ナチョスの魅力はそのアレンジのしやすさにもある。トルティーヤチップス、チーズ、ハラペーニョが原型だが、現代のレシピではそのバリエーションは飛躍的に増えている。牛ひき肉、鶏肉、リフライドビーンズ(二度揚げ豆)、ワカモレ、サワークリーム、ピコデガロ、オリーブなど、その可能性は無限だ。
元がとうもろこしのトルティーヤなのもあり、ベジタリアンから肉好きまで、あらゆる人に対応できる料理といえる。
栄養面
ナチョスはジャンクフードに分類されることが多いのですが、よく考えて作ればバランスも良い食事になるのである。
上質なトルティーヤチップスで全粒粉を摂取し、豆や肉でタンパク質を摂取する。さらに、トマト、レタス、アボカドなどの野菜から摂れる食物繊維とビタミンが加われば、一皿でバランスのなかなか良いちゃんとした食事になります。
世界のナチョス
21世紀の今、東京、イスタンブール、シドニー、トロントなど、どこへ行っても探せば大抵ナチョスはありメキシコ料理の定番メニューともいえます。
スポーツの世界では特にナチョスは国境を越える世界共通語といえるかもしれない。野球やサッカーの会場ではナチョスの手軽な調理、手軽な食べ方、そしてその美味しさ、全てがベストマッチしているためか多くの場所で見かける。おまけに安くて量が多いので長い試合でも大丈夫だ。
ナチョスのあまり知られていない親戚
ナチョスが広く親しまれている一方で、あまり知られていない親戚も誕生してきています。
彼らは伝統的なトルティーヤチップスをこちらの動画のようにテイタートッツワッフルなどのワッフルに置き換えたものです。チーズ、サワークリーム、グリーンオニオンなどがトッピングされることが多いです。
スピンオフ料理を作るにあたって、ナチョスの味付けは応用が案外効くものだと思います。
ナチョスが80年ほどでこれだけ世界で流行っていることを考えると、インターネットとスマートフォン、SNSで世界が一つになった今、10年後にソファー横にいるのはトルティーヤではない別のナチョスかもしれません。
おまけ
ナチョスは太る?
伝統的なナチョスは、揚げたトルティーヤチップス、チーズ、サワークリーム、脂肪分の多い肉などで作られることが多く、これらは高カロリーで脂肪分が多いです。
アメリカ心臓協会は揚げたトルティーヤチップスの摂取を控えるよう推奨しており、代わりに焼いたトルティーヤチップスや全粒粉のオプションを選ぶことを勧めています。
ということでナチョスが太る原因になるかどうかは、どのように調理され、どのように消費されるかに依存します。
ナチョスは辛い?
トルティーヤチップス自体は通常スパイシーではありませんが、トッピングやソースが辛さを加えることになります。
一般的なスパイシーなトッピングには、ハラペーニョ、スパイシーチーズ、チリパウダー、サルサ、チョリソーなどがありますがそれらを減らせばマイルドなナチョスが楽しめるはず。
ナチョスのソースのアボカドのアレは?
ナチョスに使われるアボカドソースは、アボカドクリームソースやアボカドクレマと呼ばれることが多いです。意外に複雑なソースで、アボカド、サワークリームまたはギリシャヨーグルト、ライムジュース、ニンニクをブレンドして作ります。
このソースは、トルティーヤチップスのカリカリ感とよく合い、ハラペーニョの辛さや溶けたチーズのリッチさをバランスよく引き立てるといえるでしょう。アボカドソースは、伝統的なチーズソースやサワークリームディップの健康的な代替品でありビタミン、ミネラルも豊富です。
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