コーヒー豆の加工の種類
まず、加工とはコーヒーノキの果実を、焙煎に適したコーヒー豆に変える方法です。
主な加工方法には、ウォッシュド(またはウェット)、ナチュラル(またはドライ)、ハニー(またはセミウォッシュド)があります。
これらそれぞれの処理方法の違いがコーヒーの風味に異なる影響を与えます。
ウォッシュド(水洗式)
ウォッシュド・プロセスでは、まずコーヒー・チェリーをデパルプして外皮を取り除きます。その後、粘液質に覆われた豆を水中で12~48時間発酵させて粘液質を分解します。
発酵後に粘液質は水で洗い流され、コーヒー豆が残る。ここがまさにウォッシュドの過程です。最後に、豆は適切な含水率になるまで乾燥される。
特徴
酸味がより強調されフレーバーが明瞭となる。
コーヒー豆が本来持っている特質を生かすことができるため、高品質の豆に好まれる。
産地としても、水が比較的豊富な、中南米、東アフリカの一部で使われている手法。
ナチュラル(ドライ・プロセス)
ナチュラル・プロセスは最も古いコーヒーの加工方法である。
収穫後、チェリー全体を天日で乾燥させる。この工程には4週間ほどかかることもあり均一に乾燥させるためには定期的にチェリーを裏返す必要があります。チェリーの乾燥が終わると、乾燥した皮と実が取り除かれ、コーヒー豆が現れます。
特徴
コクがあり、甘く複雑な風味を持ち、フルーティーな香りやワインのような香りを持つものが多い。
乾燥中に発酵のリスクがある。そのため独特の風味が得られるのだが、注意深く管理しないと欠点が生じることもある。
こちらはエチオピアの一部、イエメンなど、水にアクセスしにくい地域で比較的人気がある。
ハニープロセス(セミウォッシュド製法)
蜂蜜は使わないのになぜハニープロセス?
ハニープロセスは、コーヒーチェリーの外皮を取り除きますが粘液質の一部または全部(ハニー)が乾燥段階で豆に残る方法です。
つまり別に蜂蜜で加工するわけはありません。
ではなぜハニープロセスかというと、コーヒー豆の中にミューシレージという蜂蜜のように乾燥させるとべたべたになる部分があるのだ。この蜂蜜化をする過程がハニープロセスというわけだ。
このミューシレージという部分には酸味や甘味がたっぷり含まれているのでハニープロセスを行うと甘さやフルーティーさが増幅されるのです。
豆に残る粘液質の量は様々で粘液質の含有量と乾燥時間によって、
ホワイト・ハニー、イエロー・ハニー、レッド・ハニー、ブラック・ハニーなど、
更に様々なハニー加工に分類されます。
特徴
ハニープロセスはウォッシュドコーヒーのすっきりとした酸味とナチュラルコーヒーのフルボディの間のバランスを持つ。
粘液質の量や乾燥条件によってはほのかな果実味を伴った甘く滑らかな風味を示すこともある。
産地については、コスタリカ、パナマ、コロンビアなどの、コーヒー産業が確立していて特殊な加工方法を求める国々で、この加工方法の人気が高まっているといった感じだ。
ローストレベル
次に、コーヒーの焙煎について。これはあえて言う必要もないかもしれませんがコーヒーを香り高い茶色の豆へと変化させる過程です。コーヒー豆の専門店でオーダーを出したことがある人も多いかもしれない。
焙煎度合いは、コーヒーの味、香り、色に大きく影響する。
ライト・ロースト
外観は明るい茶色で、豆の表面に油分がない。
風味は、酸味が強くコーヒー本来の風味が残り、品種の特徴がはっきりしている。最も浅い焙煎豆は、トーストした穀物の味と際立った酸味があります。
代表的な名称
ライト・シティ、ハーフ・シティ、シナモン・ロースト(このシナモンというのは実際のシナモンやシナモンの風味ではなく、薄茶色であることから名付けられたものです)
一般にライト・ローストは、焙煎の過程でカフェインがまだあまり分解されていないため、カフェイン濃度が最も高い。
ミディアムロースト
外観はそのまま、ミディアム・ブラウンといった感じ。ライト・ローストに比べてコクがあるが、豆の表面にはまだ油分がない。
風味の特徴としては風味、アロマ、酸味のバランスが取れている。コーヒー本来の風味がまだ感じられ、焙煎によってキャラメルのような甘さが加わっている。
代表的な名称
シティ、アメリカン、ブレックファスト
ミディアム・ローストはライト・ローストよりカフェイン含有量がやや少ないが、ライト・ローストの酸味とダーク・ローストの大胆さをもちバランス型といえる。
ミディアム・ダーク・ロースト
外観はリッチでダークな色調。表面に若干の油分があり、ボディはやや太め。
深みのある風味。ほろ苦いチョコレートのような香りが、コーヒー本来の風味とともに感じられる。
代表的な名前 フルシティ
カフェイン含有量はミディアムローストよりやや低くなる。フレーバーは焙煎の風味に支配され始めますが、複雑さも残っています。
ダークロースト
外観は光沢のある黒豆。表面はオイリー、ボディはしっかりとしている。
風味の特徴としてははっきりとした苦味がある。元の風味の大部分は焙煎の風味に置き換わっている。焙煎の深さによってはダークチョコレートや焦げたような風味も感じられる。
代表的な名称
フレンチ、イタリアン、エスプレッソ、コンチネンタル、スパニッシュ、ヨーロピアン。
ダークローストは焙煎時間が長い。カフェイン含有量は全ローストの中で実は最も少ない。風味はコーヒー豆が本来持っている資質ももちろんあるが、焙煎中に生まれた風味が多めとなる。
スペシャルティロースト
上記の分類に当てはまらないスペシャルティローストもあります。スペシャルティローストは焙煎技術や焙煎業者の特定の目的によって、色、味、香りが異なる。
焙煎度の選択は主観的なものであることが多く、個人の好みやコーヒーの用途(エスプレッソ、フィルターコーヒーなど)によっても異なります。
コーヒーの種類
フレンチプレス
プレス・ポットやプランジャー・ポットとしても知られるフレンチ・プレス。
粗挽きのコーヒーを沸騰したお湯の中で数分間蒸らした後、金属製またはナイロン製のメッシュ・フィルターを通してプランジャーを押し下げることでお湯から分離させるコーヒーの抽出方法である。
説明だとわかりづらいかもしれないが下の動画の器具を見ればすぐにわかるかもしれない。
油分と複雑な風味が抽出され他の抽出方法に比べてコクのあるリッチなコーヒーができる。フレンチプレスはそのシンプルさと抽出の強さと風味をコントロールできる点がメリットといえるだろう。
エスプレッソ
エスプレッソは、細かく挽いたコーヒー豆に少量の沸騰寸前のお湯を通して抽出する濃縮コーヒー飲料です。
その結果、固形分と溶解物質の濃度が高く、クレマ(クリーミーな泡)の層がトッピングされた濃厚なコーヒーが出来上がります。
エスプレッソは単独でももちろん美味しいが、ラテ、カプチーノ、マキアートなど、さまざまなコーヒーのベースともなる。
強い風味、豊かなコク、単位量あたりのカフェイン含有量の多さが有名だ。ヨーロッパでは日本の抹茶のような存在に近いかもしれない。食後に頼む飲み物の定番である。また1杯の量は通常少ない。
コールド・ブリュー
粗く挽いた豆を冷たい水に長時間(通常12~24時間)浸して作ります。コーヒーはその後ろ過され、水やミルクで薄めて冷やして飲むことができる濃縮コーヒーとなる。
コールドブリューは、ホットで淹れる方法に比べ、滑らかでマイルドな風味と酸味が少ないことで知られている。カフェイン含有量は様々だが、蒸らし時間が長く、コーヒーと水の比率が高いため、通常のドリップコーヒーよりも高いことが多い。
日本でもこだわりの強めの喫茶店などにはこの水出しマシンが置いてあるところが意外にある。じっくりと時間をかけて抽出される様を見たことがある人は他国より多いんじゃないだろうか。
ゲイシャコーヒーとブルーマウンテン 高級豆の小話
ゲイシャ/Gesha
原産地はエチオピアだが、パナマで栽培されていることで有名。
コーヒーオークション
日本のマスコミが定期的に取り上げすしざんまい社長などでも有名なマグロのオークション、高級な牛のオークションなど高額なオークションはコーヒーにもある。
そしてこのゲイシャコーヒーはコーヒーオークションで何度も記録を塗り替えていてコーヒー通の間で高い人気を誇っている品種だ。
パナマで行われた2019 年のベスト・オブ・パナマ・オークションでは、パナマ産ゲイシャコーヒーが 1 ポンド当たりなんと1,029 ドルで落札されて記録を更新した。1ポンドはたかだか450gほどだ。単純に換算してコーヒー豆1kgで電子部品ぎっしりのパソコンや中古のスクーターと考えると恐るべき値段である。。
ゲイシャはしばしばフローラル、シトラス、フルーティな香り、繊細な紅茶のようなボディを持つと言われ、とにかく非常に貴重な品種である。原産地はエチオピアだがパナマで栽培されたことで有名になった。実際に数々のコーヒー・テイスティング・コンテストで優勝している。
ブルーマウンテン
ブルマンなどとも俗に言われるジャマイカのブルーマウンテン地域で栽培されるこのコーヒーは、酸味が多少強め、苦味が少ないマイルドな風味で有名です。
そしてジャマイカで最も生産しているコーヒー豆でもある。
ジャマイカ・ブルーマウンテン・コーヒー詐欺
ジャマイカブルーマウンテンコーヒー詐欺とは、ジャマイカ・ブルー・マウンテン(JBM)の高級コーヒーとして販売されているコーヒーが、実際には品質が劣っていたり、ブルーマウンテン産のものでなかったりする事件である。
JBMコーヒーは、そのマイルドな風味、苦味のなさ、総合的な品質で世界的に有名であり、最も高価で人気のあるコーヒーとしてある種の代名詞ともいえる。そのためこうした詐欺のターゲットとなってしまったのだろう。
詐欺の手口としては実際のJBMコーヒーの割合がわずかなブレンドや、JBMと表示された全く別のコーヒーを使用したブレンドが販売されるのが一般的である。
要するにジュースと思って買って、あとからよく見たら果汁が3%と書いてあった、みたいな話である。ジャマイカは位置こそ遠い国だが、ブルーマウンテンの大量輸入国の日本としてこれは他人事の話ではないので注意ともいえるだろう。
最後にこちらは一杯75ドルのコーヒーの飲み比べ動画。
お正月の格付けチェック番組ではないが、味に敏感でないうちはあまり高いものに手を出すのは危険かもしれない。
自分はコーヒーを明らかに多く飲む方だと自負するが、日々の一杯一杯を味わって飲んでいるとは言えないし、上記の詐欺などを判別できる自信はあまりない。。
毎日余裕をもって味わってコーヒーを飲みたいところである。
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