朝鮮半島独自の混ぜご飯ビビンバ
ビビンバという名前は、ビビンが混ぜるで、バがご飯で、直訳すると「混ぜご飯」である。
日本の海外旅行番組で見たが、韓国に行って日本のタレントが出された綺麗に盛り付けられたビビンバをそのまま食べようとしたら、同行していた韓国人の人に
「かき混ぜなきゃだめだよ!」
と注意されていた。
実際に具とコチュジャンが混ぜることで美味しくなる料理のようだ。
ビビンバのルーツは諸説あるようで、先祖の祭祀のための残り物を混ぜ合わせ、無駄を省きながら先祖に敬意を表する料理を作るという朝鮮民族の古代の伝統にあるという説。
または朝鮮王朝の宮廷料理が発祥ともいわれます。
かつてはビビンバではなくゴルドンバンと呼ばれ、旧正月の前夜に、新年を迎える前に残ったおかずをすべて食べきるための食事として食べられていたそうだ。
ご飯、味付けした野菜(ナムル)、タンパク質(通常は牛肉のマリネやベジタリアン向けの豆腐)、生卵または目玉焼き、そして欠かせないコチュジャン(韓国の唐辛子ペースト)からなる。卵については昔はなかったそうだ。
ビビンバの地域バリエーション
韓国の全州という地域のジェオンジュビビンバは全州産のもやし、そして牛肉、時にはなんと味付けした生肉を使う。
米も肉のスープの出汁で炊くためにうまみがご飯にもついている。
また、沿岸部では牛肉や豚肉ではなく、その日に獲れた新鮮な魚やタコの刺身を使った「ホデオッパプ(Hoedeopbap)」が人気です。
トルソビビンバ(dolsot)は熱した石の器に盛り付けられ、ご飯をカリッと焼き上げたビビンバです。このドルソというのは正に石の器のことです。
これは器が熱伝導率が低いためになかなか冷めない熱い石のために、ビビンバが冷めないで最後まで暖かく食べられるという工夫です。
ちなみに北朝鮮についても独自のビビンバがあるようだ。卵を使わないビビンバやコチュジャンを使わない醤油ベースのタレのビビンバも北朝鮮にはある。また地域的な多様性もあり海州ビビンバは魚介系の具材を多く使う。
しかしやはり一般に、肉やもやしなどのナムルを使用するビビンバというのは南北に共通したビビンバの特徴である。
近年テレビで韓国料理のキャンペーンが多く行われている隣国の日本でもビビンバは韓国風焼き肉の店に行くと大抵どの街でも食べることが出来る。
日本ではビビンバに種類があることは一般にそこまで知られていないのではないだろうか。
そしてトルソビビンバだけという独自のカルチャーが日本の韓国風焼き肉屋にはあるようだ。トルソビビンバは日本ではもっと直接的にその器から、石焼きビビンバ、と呼ばれ有名である。
健康食
伝統料理であるビビンバは栄養バランスにも優れておりインドネシアのナシゴレンなどと同じで一皿で完全な食事ができるものだ。
野菜はビタミンや食物繊維、肉や豆腐はタンパク質、ご飯は炭水化物を豊富に含んでいる。卵はアミノ酸がバランスよく入っているし、人参のような滋養強壮作用のあるといわれる根菜やほうれん草などの葉物野菜もある。
さらにコチュジャンの熱で代謝が促進されるため、最近では健康志向の方にも人気のメニューのようだ。
実際ビビンバの具をプレートや小皿に載せたら定食のようになりそうである。
食欲をそそるだけでなくカスタマイズの幅も広い。人参、キュウリ、ホウレンソウ、モヤシから大根、時にはキノコ、ズッキーニまで、さまざまな野菜が使われる反面で、個人の好みや食事の必要性に応じて具材を調整することができるカスタマイズ性の高い料理といえる。