ビリヤニって?
昨今食べられるお店が加速度的に増えてきたビリヤニ。
これはインドのムガール帝国をルーツとする南アジアの料理です。香り高い長粒種のバスマティ米と無数のスパイス、そして肉から作られます。
語源については、ペルシャ語で「調理前に揚げる」という意味の「ビリアン」に由来するとされ、米の調理法を示しています。
正確な起源は不明だが16世紀、特にインド北部にムガル帝国が成立した際にムガル人によってインド亜大陸にもたらされたという説が有力である。
ムガール帝国の宮廷料理人たちは、その料理の腕前で知られ、この料理を洗練させたと言われています。
ビリヤニの種類 ラクナウビリヤニからマラバルビリヤニまで
ビリヤニは、その土地の味や食材、調理法などを反映し、地域によってさまざまなバリエーションがあります。
ハイデラバディ・ビリヤニ、コルカタ・ビリヤニ、ラクナウ・ビリヤニ、マラバール・ビリヤニ、シンドゥ・ビリヤニなどが有名である。
以下で見ていくようにそれぞれのビリヤニは、スパイスの配合、肉の種類、調理法、付け合せの料理などに特徴があります。
ハイデラバディ・ビリヤニ
ビリヤニと言えばこのハイデラバディビリヤニを指すほど有名な代表的なビリヤニである。
濃厚な味であり辛めである。バスマティライス、マリネした鶏肉、マトン、ヤギ肉を使うことが多い。
ヤギ肉は伝統的だが実際に使われることは今はあまりないようだ。
カルダモン、シナモン、クローブなどのスパイスのブレンドで作られる。もちろん肉と米を密閉された鍋(ダムスタイル)で密封して調理して味を染み込ませる。
ハイデラバードは南インドの大都市でありテランガーナ州の首都、2000年代以降はITの首都ともいえる街だ。
インド全土で有名なビリヤニだが特に南インドを代表するビリヤニともいえる。
ラクナウ・ビリヤニ
ラクナウビリヤニ。ムガール文化の濃いインド北西部ウッタル・プラデーシュ州のラクナウのビリヤニで、繊細な味と弱火でじっくりの調理法で知られる。
肉は濃厚なブイヨンで別々に調理され、軽くスパイスを効かせたライスと重ねられる。
スターアニスなどのスパイスで香り高くマイルドな味わいで知られる。
コルカタ・ビリヤニ
こちらはインド東部、西ベンガル州の中心都市コルカタのビリヤニだ。
地理的には同じベンガル人のイスラム教の国バングラデシュのすぐ西である。バングラデシュはちなみにベンガル人の国だからベンガルデシュでバングラデシュである。
これは実は上記のラクナウのビリヤニの系統で、マイルドな風味が特徴である。
鶏肉か羊肉とともにジャガイモや卵を使うのが特徴だ。ハイデラバディ・ビリヤニに比べるとスパイスは控えめで、米はローズウォーターとナツメグなどで味付けされている。
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このリストの中でも特に個性が強く紹介したいビリヤニがこちらだ。
インド南西部のケララ州のマラバルビリヤニは、フェンネルシードやシナモンやクローブだけでなく、マラバール産のスパイスなどを使った独特の味わいだ。
具材には魚や鶏肉がよく使われる。米はジーラカサーラ米またはカイマ米と呼ばれる短粒米が好まれる。この米は独特の香りと味の吸収の良さで選ばれる。
またカシューナッツやレーズンも使われる。
シンディ・ビリヤニ
シンディ、つまりパキスタンのシンド族のこのビリヤニは、スパイシーな味と香り高い長粒種の米で知られる。
見た目にはインドのビリヤニとそれほど変わらないが、スパイスはやはり独特であるし、マリネにヨーグルトを使い、梅干しや青唐辛子などのスパイシーでピリッとした食材をミックスしている。
炒めた玉ねぎとコリアンダーが添えられることが多い。
パキスタンやバングラデシュにはまだまだ他にもカラチのビリヤニやダッカのダッカビリヤニ、ハジビリヤニなど個性あるビリヤニがあります。
ビリヤニの材料や調理法のされ方について
ビリヤニに使われる材料は物凄くシンプルに言えば、米、サフラン、肉、スパイスです。
具体的に言えば、米(ポピュラーなのはバスマティライス)と、スペインの米料理パエリアと同じく黄色い色の元となるサフラン。
肉(チキン、マトン、ラム、魚のどれか)、スパイス(主にターメリック、クローブ、カルダモン、シナモンなど)、そしてヨーグルトなどです。その他、ゆで卵、ドライフルーツ、野菜などを入れることもあります。
ビリヤニの一般的な調理法としては「ダムスタイル」調理法があります。
ハンディ(底の重い鍋)に、部分的に炊いた米とマリネした肉を重ね、蒸気を閉じ込めるために、伝統的に鍋を密閉する。加熱は弱火で調理されることが多く、スパイス、肉、米の風味が溶け込むように行われる。
ダムスタイルを具体的に言うと、屋台の巨大な鍋では鍋のへりに小麦粉生地をつけて蓋を完全にかぶせて隙間なく密閉するものだ。
一般の家庭では動画のように小さな鍋で行う。
その際は蓋を小麦粉の生地で動画のように外から密閉したり、規模は小さいが屋台と同じようにへりに生地をつけて上から蓋を押し付けて同様に密閉を行う。
ビリヤニの現状
ビリヤニの人気はインドにとどまらず世界各地でアレンジやバリエーションが生み出されています。
インドだけでも種類は多いのですが、既に述べたようにパキスタンやバングラデシュのビリヤニ、中東や東南アジアのビリヤニなど、さまざまな文化や国籍の食通に愛される世界的な料理となりました。
こうした点はトルコ発祥でユーラシアに拡がっているピラフと似ているかもしれません。
また食生活の変化や健康・栄養に対する意識の高まりから、ビリヤニも現代風にアレンジされたものが登場するようになりました。例えば元からインドでは宗教的にベジタリアンが一定数います。
そのため野菜やパニール(インドの白いチーズ)、大豆ベースの代用品で代用するベジタリアンやビーガン向けのビリヤニがあります。
また、栄養価を高めるために白米のバスマティライスの代わりに玄米やキヌアを使う料理人もいます。
高級レストランではビリヤニが創作の高級料理として提供されたり時には分解されたり、他の料理とフュージョン的なアレンジをされたりもしています。
まだまだ進化をじっくり遂げている最中といえるかもしれません。
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