フィッシュアンドチップス 魚の種類は?献立は?
フィッシュアンドチップスの起源
イギリスの料理のイメージが強いフィッシュアンドチップス。実はその起源は15世紀のポルトガルにさかのぼります。
この時期にユダヤ人コミュニティは安息日に食べるための保存食として魚を揚げる技術を開発しました。この方法は魚を長持ちさせるだけでなく、風味を保つことにも成功しました。揚げた魚は冷やしても美味しく食べられるため、特に重要な食材となりました。こうした技術は、後に他の地域にも広がり、フィッシュアンドチップスの基礎を築くこととなります。
17世紀にはスペインとポルトガルからイギリスに移住したユダヤ人が揚げ魚の調理法を持ち込みました。この料理法は、イギリスの食文化に深く根付くこととなり、特に労働者階級の間で人気を博しました。
19世紀には、フィッシュアンドチップスは庶民の外食産業の象徴となり、労働者たちの栄養源として重要な役割を果たしました。こうして、フィッシュアンドチップスは単なる料理を超え、イギリスの文化的アイコンとしての地位を確立しました。
イギリスでの普及
近年のフィッシュアンドチップスの歴史は1860年代に遡ります。ロンドンのイーストエンドで、ユダヤ系移民のジョセフ・マリンが最初のフィッシュアンドチップス店を開業しました。彼は、揚げた魚とポテトチップスを組み合わせた料理を提供し、これが瞬く間に人気を博しました。この新しい料理は、労働者階級にとって手軽で安価な食事として受け入れられ、外食文化の先駆けとなりました。
産業革命はフィッシュアンドチップスの普及に大きな影響を与えました。工業化が進む中、労働者たちは安価で手軽に食べられる食事を求めていました。フィッシュアンドチップスは、揚げた魚とポテトの組み合わせが、栄養価が高く、腹持ちも良いため、労働者階級の間で急速に広まりました。この料理は、忙しい日常の中での栄養補給として、重要な役割を果たしました。
1920年代には、イギリス全土で35,000軒以上のフィッシュアンドチップス店が存在し、国民的な料理としての地位を確立しました。これらの店舗は、労働者階級だけでなく、広く一般市民に愛される存在となり、フィッシュアンドチップスは「庶民の憩いの場」としての役割を果たしました。この時期、フィッシュアンドチップスは単なる食事ではなく、イギリスの文化の一部として根付いていきました。
フィッシュ&チップスで使用される魚の種類
大きくはコッド、ハドック、ポラック、日本語でいうとタラ、モンツキダラ、そしてスケソウダラの3つのタラがフィッシュ&チップスで使われる魚です。
フィッシュアンドチップスにおいて、コッド(タラ)は最も一般的に使用される魚です。その柔らかく淡白な味わいは、バッターとの相性が抜群で、揚げたてのコッドは外はカリッと、中はふっくらとした食感を楽しむことができます。コッドはその豊富な脂肪分とフレーク状の身が特徴で、食べる人々にとって非常に親しみやすい味わいを提供します。これにより、コッドはフィッシュアンドチップスの定番として広く認識されています。
ハドック(モンツキダラ)は、コッドよりも風味が強く、甘みがあるため、特にバター風味の衣との相性が良いです。この魚は、やや小ぶりで身が締まっており、フィンガーサイズの揚げ物に適しています。ハドックの独特な風味は、フィッシュアンドチップスに新たな深みを加え、食べる人々にとっての選択肢を広げます。特に、ハドックを使用したフィッシュアンドチップスは、よりリッチな味わいを求める人々に好まれています。
ポラック(スケソウダラ)は、最近では持続可能性の観点から選ばれることが多く、コッドに似た味わいを持っています。ポラックは、環境に優しい漁業方法で捕獲されることが多く、消費者の間での人気が高まっています。この魚は、コッドと同様に柔らかい食感を持ち、フィッシュアンドチップスにおいてもその風味を十分に楽しむことができます。持続可能な選択肢としてのポラックは、今後のフィッシュアンドチップスのスタンダードになる可能性を秘めています。
フィッシュ&チップスの献立、付け合せ
付け合せといえばマッシュピーです。フィッシュアンドチップスの伝統的なサイドディッシュとして知られています。えんどう豆をすりつぶしてクリーミーに仕上げたこの料理は、鮮やかな緑色が特徴で、見た目にも楽しませてくれます。マッシュピーは、フィッシュアンドチップスの脂っこさを和らげる役割を果たし、食事全体のバランスを整えます。特に、バターやミントを加えることで、風味が一層引き立ち、食卓に彩りを添えます。
他にも、コールスローはキャベツ、また人参を主成分としたクリーミーなサラダで、フィッシュアンドチップスと非常に相性が良いサイドディッシュです。このサラダは、酸味のあるドレッシングで和えられ、食事の脂っこさを和らげる効果があります。コールスローのシャキシャキとした食感は、揚げた魚やポテトの柔らかさと対照的で、食べる楽しみを増してくれます。特に、レモンやビネガーを加えることで、さっぱりとした味わいが楽しめます。
タルタルソースはフィッシュアンドチップスに欠かせないクリーミーで酸味のあるソースです。主にマヨネーズ、ピクルス、ケイパー、レモンを混ぜ合わせて作られ、魚の風味を引き立てる役割を果たします。このソースは、揚げた魚の外側のカリカリ感と、内部のジューシーさを一層引き立て、食事全体の味わいを深めます。タルタルソースを添えることで、フィッシュアンドチップスの楽しみ方が広がり、食卓に華やかさを加えます。
文化的意義も
フィッシュアンドチップスの消費はカトリックの伝統にも深く根ざしています。特に金曜日には肉を避け魚を食べる習慣が広まりました。この慣習はイエス・キリストが十字架にかけられた金曜日に肉を食べることを控えるという宗教的な背景から来ています。イギリスでは、金曜日にフィッシュアンドチップスを食べることが一般的であり、家庭やレストランでの定番メニューとなっています。
19世紀の産業革命の時代に労働者階級の食事として広まりました。手軽に食べられるこの料理は安価で栄養価も高く、労働者たちの間で人気を博し今や多くの家庭やパブで愛されています。
第二次世界大戦中にフィッシュアンドチップスは配給制限を受けることなく国民の士気を高める重要な役割を果たしました。この料理は、戦時中の困難な時期においても、イギリス人にとっての安らぎの源となり、国民の団結を促しました。
ということでフィッシュアンドチップスは、単なる食事以上の存在としてイギリスの文化や歴史を象徴する料理となっています。