ベーグルは、中央に穴の開いた丸い形が特徴的な、世界で最も認知度の高いパン製品の1つです。東ヨーロッパ、特にポーランドのユダヤ人社会から生まれたベーグルは、密度が高く噛み応えのあるパン製品で、通常焼く前に茹でるため特徴的な食感と光沢があります。
ベーグルはなぜ茹でる?
ベーグルを茹でる作業はその独特の食感と風味を生み出すために重要なステップです。
ベーグルの表面は独特なツルツル感があると思います。それは茹でることでベーグルの外側のデンプンがゼラチン化して、焼く前に薄くて弾力のあるクラストを形成するからです。
これによってベーグルの特徴的な噛み応えも生まれ、焼成中にその形を保つことも可能になるのです。外が膨らまないことでオーブンでの膨張が制限され、密度の高い内部が保たれるということです。
ベーグルはどこの国のもの?
正確な起源は謎に包まれていますが発祥としては17世紀にポーランドのユダヤ人社会で初めて作られたと言われています。ポーランド系ユダヤ人の主食であり出産を控えた女性に贈られることも多かったようです。
20世紀初頭に東欧からのユダヤ系移民の増加に伴い米国でも人気を博しました。その後はユダヤ人社会だけでなく広くアメリカ社会で朝食や昼食として親しまれるようになった。
ベーグルの種類
伝統的なベーグルはプレーンなものですが、長い年月をかけてドーナツのように多くのバリエーションが生み出されてきました。セサミ、ポピーシード、オニオン、ガーリック、エブリシング(様々なトッピングをミックスしたもの)、シナモンレーズンなどが代表的なものです。
また、生地についても違いがあります。より伝統的なニューヨークスタイルのベーグルは、高密度で噛み応えがあり、かなり大きいものが多いです。対照的にモントリオールスタイルのベーグルは小さく低密度です。またモルトや蜂蜜を加えることで甘くなり、薪釜で焼かれたものと区別されることがあるようです。
ベーグルのトッピングやフィリングは、古典的なものからとんでもないものまでいろんなものがあります。ここはもうサンドイッチのようなイメージですね。
ベーグルとクリームチーズ
ベーグルはよくクリームチーズと一緒に食べます。この伝統は20世紀初頭にニューヨークで始まり、瞬く間に広まりました。ロックスと呼ばれるスモークサーモン、ケッパー、レッドオニオン、トマトを加えるなど、さまざまなバリエーションがあります。この組み合わせは、”ベーグル&ロックス “と呼ばれます。
ベーグルとドーナツの違い
上記で述べたようにベーグルは茹でと焼きですが、ドーナツは油で揚げられます。
この揚げる方法により、ドーナツは軽くてふわふわした食感になり、油を吸収することで柔らかい内部とカリッとした外側が形成されます。
特徴 | ベーグル | ドーナツ |
---|---|---|
材料 | 強力粉 | 薄力粉 |
調理法 | 茹でてから焼く | 油で揚げる |
食感 | 密度が高く噛み応えあり | 軽くてふわふわ |
風味 | 主に塩味または中性 | 甘味 |
ベーグルは高グルテン粉を使用します。密度が高く噛み応えのある食感を持ちますが、ドーナツは薄力粉やいわゆる万能粉を使用して、やはりパンケーキのように軽くてふわふわした食感を持ちます。
ベーグルは通常、クリームチーズやスモークサーモンなどのトッピングと共に楽しむことが多く、風味は塩味または中性です。ご存知とは思いますが、ドーナツは甘く、アイシングやシュガーコーティングが施されることが一般的です。
栄養面では、ベーグルはドーナツよりも一般に健康的と考えられます。生地自体ベーグルは強力粉や全粒粉で作られ、繊維や栄養素が豊富です。一方、ドーナツは砂糖と脂肪の含有量が高いのでやはりデザートとしての側面が強いといえるでしょう。
今日のベーグルとチェーン店
今日、ベーグルは世界中のあらゆる文化圏の人々に親しまれています。
具体的に名前を挙げるなら、上の動画でも紹介したアインシュタイン・ブラザーズ・ベーグル。そしてブリューガーズ、そしてダンキンドーナツといった大手チェーンがベーグルをさらに普及させました。
ちなみにダンキンは昔は日本にもあったのですがなくなってしまい悲しいです。ミスタードーナツなどに比べるとかなり甘いのでその辺が受け入れられなかったのかもしれません。
日本ではベーグル&ベーグル(B&B)などのチェーンもたまに見かけますが、個人店の人気が結構あるように思います。実際自分が近所のとある店(駅からも離れているような立地の)を見たらレビューがやたら高くて、内容を見たら英語ばかりでした。笑
現状日本ではニッチ需要がかなり高い食べ物といえるかもしれません。