ラザニア発祥の地 イタリア?ギリシャ?
ラザニアはイタリアのどの地方の料理?
先生:英語でラザニア、またはイタリア語でラザーニャ。このイタリア料理はご存知でしょうか?
学生:もちろんです!私の大好きなイタリア料理のひとつですよ。でもおいしいというだけでその歴史や由来はよく知らないですが。
先生:そうですね。ラザニアも他の料理と同じように、さまざまな文化に根ざした豊かな歴史を持っています。イタリア料理のイメージが強いですが、ラザニアの起源は古代ギリシャまでさかのぼります。
学生:古代ギリシア?意外です。純粋なイタリア料理だと思っていましたよ。
先生:そういう見方もあります。イタリアのボローニャで既に中世の頃食べられていたという記録があるので今ではイタリア料理、そしてボローニャのあるエミリア・ロマーニャ州の料理という見方は確かにあります。
学生:イタリア北部の州ですね。あれ、それではやはりイタリア料理では?
ラザニアの語源 そしてラザニアの本当の起源は?
先生:ラザニアの語源はギリシャ語の「lasanon」で、調理用の鍋を表すのに使われていたんです。
学生:ギリシャ語?ラテン語ではなく?
先生:そうです。そしてその後に、ローマ人がこの言葉を借りて、ラテン語で「調理鍋」を意味する「lasanum」に発展したのです。私たちが知っているラザニアという料理は、もともとそのような鍋で調理されていたため、この言葉から名前が付けられたのです。つまりギリシャ生まれでローマ育ちの料理なのですよ。
要するに、ラザニアがどこ料理かと聞かれたら、ギリシャ料理かイタリア料理と答えるのが正解です。
学生:グレコにローマ、レスリングで言うところの、いわゆるグレコローマンスタイルなのですね。
ところで中世のラザニアと今のラザニアは同じものですか?
先生:全然違います。トマトがないですから。
学生:えっ。
アメリカとの交流
先生:ラザニアの歴史において重要な転換点の一つは新大陸発見後の16世紀にイタリアにトマトが導入されたことです。
学生:ピザもですけどトマトは存在感が強いですから料理の雰囲気が全然違ってしまいますね。
先生:その通り。ちなみにそれ以前のラザニアはスパイスや小さく切った肉、すりおろしたチーズなど、さまざまな材料を使って作られていました。このトマトの追加で現在のラザニアが完成する訳です。ちなみにスペイン経由でトマトが来て近代のラザニアはナポリの方で完成されたという説もありますが、やはりそこは諸説ありです。
学生:とにかく感慨深いです。昔の地中海と近世の大西洋がラザニアを完成させたんですね。
先生:確かに、そう考えると壮大な料理に私も感じてきました。。
学生:そのあとはラザニアはどのように世界に広まっていったのでしょうか?
先生:他の多くの料理と同様にラザニアも移民によって広まりました。世界各地に移り住んだイタリア人は、レシピや伝統を持って外国に行きました。ラザニアもその例外ではありません。そしてとくにアメリカではイタリア系移民がレストランを開き、ラザニアを含む故郷の料理を提供するようになりました。
学生:日本ではアメリカのロードサイドにあるレストランであるデニーズが昔からラザニアがメニューにありますがあれもそうして考えるとアメリカ経由ですね。
先生:そうですね。そしてそれぞれの文化がレシピに独自のタッチを加え多くのバリエーションを生み出しています。
例えばイギリスではラザニアに野菜を入れることが多く、アメリカの一部では、マカロニと牛肉を使い、ベシャメルソースをかけたパスティシオと呼ばれる料理があるそうですよ。
本場イタリアのラザニア
学生:待ってください、そもそもイタリアのラザニアにはどんな種類があるのでしょうか?イタリア国内でも地域によって違いがあるのですよね?
先生:そちらを先に言うべきでしたね。一番有名なのは「ラザニア・アッラ・ボロネーゼ」でしょうか。その名の通り、エミリア・ロマーニャ州のボローニャが発祥の地です。薄いパスタとベシャメルソース、そしてじっくり煮込んだミートソースであるラグが重なっているのが特徴です。
学生:私が一番知っているラザニアはそれです!
他にはどんなのが?
先生:南部のカンパーニャ地方、特にナポリでは「ラザーニャ・ディ・カルネヴァーレ」と呼ばれる、カーニバルの季節に作られるラザーニャがあるんです。
トマトソースとパスタの層に加えて、地元産の肉、また、ソーセージや小さなミートボール、ゆで卵、リコッタチーズ、モッツァレラチーズなどをふんだんに使ったこのようなリッチな一品です。
学生:具だくさんですね。そもそもソーセージラザニアもミートボールラザニアも自分は食べたことがないですよ。
先生:実際ボローニャのものよりボリューミーですね。最近ではこうした伝統的なラザニアに加えて、野菜をたっぷり使ったベジタリアン・ラザニアや、乳製品以外のチーズを使ったビーガン・ラザニアなどと呼ばれるラザニアもありますね。
学生:それはそれで、肉がないラザニアはなかなか想像がつかないので試しに食べてみたいですね。
先生:ちょっと余談ですが、「ガーフィールド」知ってますか?
学生:猫のアニメのあれですよね?
先生:そうです。ジム・デイビスによって作られたその漫画の猫は、おそらくラザニアの最も有名なファンの一人です。ガーフィールドのラザニアへの愛情は、コミックの歴史の中で繰り返し描かれてきたテーマでラザニアの認知度に一役かったそうですよ。
学生:ラザニアの猫、ガーフィールドですか。最後に意外な知識です。。
備考
ラグーソース
ラグーとはフランス語の「râgout」に由来し、肉、鶏肉、魚、野菜などをじっくりと煮込んで味付けしたシチューのことです。
また、今回の話のようにそのようなシチューから作られるボリュームたっぷりのソースを指すこともあります。ラグーソースは玉ねぎ、セロリ、にんじんなどの香り高い食材(ミルポワと呼ばれる)、ハーブ、時にはワインを使い、じっくりと煮込むことで生まれる豊かな味わいが特徴です。パスタやポレンタ(とうもろこしの粉の料理です)に添えたり、単品で皮付きパンと一緒に食べたりすることができます。
ベシャメルソース
ホワイトソースとしても知られ、フランス料理の基本となるいわゆるマザーソースのひとつです。白いルー(バターと小麦粉)と牛乳から作られます。通常、塩、白コショウ、そしてナツメグで味付けします。ベシャメルは汎用性の高いソースで他の多くのソースや料理の骨格を形成します。今回のラザニアやギリシャ料理のムサカにも欠かせないソースであり、クラシックなチーズソースのベースでもあります。
リベル・デ・コキーナ
「リベル・デ・コキーナ」(料理書)は世界で最も古い料理書のひとつ。ラテン語で書かれていて13世紀に出来たものです。
この本は2つの部分に分かれており、1つ目は肉の調理法、2つ目はソースやお菓子、卵や牛乳、チーズを使った料理など、さまざまなレシピが掲載されています。中世の食習慣や技術を垣間見ることができる一級資料です。
ラザニアの特徴
ラザニアの特徴は沢山あります。薄くて四角いパスタの形状、その由来の通りの料理を入れる容器の形状、そして層状に重ねて焼くこと。それら全てがほとんどラザニア独自の特徴で他のパスタ料理にはほとんど見られません。余談ですが単数形がラザーニャ、複数形はラザーニェとなります。
ラザニアはパスタ?料理?
ラザニアは平たく四角いパスタの名称であり、同時に料理名です。これは実際に聞かれたことがあるのでわざわざ一応書いているのですが、もちろんパスタだけを指す言葉ではないので安心してください。逆に言えばラザニアがパスタ名だけを指すとしたら、料理は一体何て言うのだろう?となってしまいますよね。
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