小麦粉の昔の言い方って?
小麦粉は昔「メリケン粉」という言い方で呼ばれ、特に関西地方で広く使われていました。この名称は、明治時代にアメリカから輸入された小麦粉に由来し、当時の日本人がアメリカ人をアメリカンから「メリケン人」と呼んでいたことから生まれたようです。(余談ですが一応響きが似ているので調べたところ、手につける武器のメリケンサック、あれも同じ語源らしくアメリカ人の手袋、アメリカンサックでメリケンサックだそうです。笑)
メリケン粉は、薄力粉や強力粉などの小麦粉の総称として用いられましたが、時代とともにその使用は減少し、現在ではあまり使われていません。
そもそも日本においても小麦の利用は古くからありました。なんと弥生時代から栽培されていたのです。その後うどんやまんじゅうなどの麺類の材料として広く利用され、食文化に深く根付いていました。
そして戦後に日本の小麦粉消費はアメリカの影響で急増しました。これは製粉技術の向上とともに、給食などでアメリカ産の小麦によるパン食文化が定着させられたためです。こうしてアメリカからの小麦粉の輸入が増え、国内での小麦粉の自給率は以前として低いまま推移しています。現在の自給率は約17%であり、残りは輸入に依存しています。
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小麦粉は、日本の伝統的な料理において欠かせない食材です。うどんやお好み焼き、さらには和菓子など、さまざまな料理に利用されています。これらの料理は、地域ごとに異なる特色を持ち、食文化の多様性を反映しています。小麦粉は、炭水化物やたんぱく質を豊富に含み、栄養面でも重要な役割を果たしています。
現代において、小麦粉はパンやパスタ、お菓子など多様な料理に使用され、食生活において重要な役割を果たしています。小麦粉は、炭水化物、タンパク質、脂質の3大栄養素を含むため、エネルギー源としても重要です。特に、全粒粉を使用することで、食物繊維やビタミンも摂取でき、健康的な食生活を支える要素となっています。
小麦粉の自給率
年によって異なりますが、日本の小麦粉自給率は約15%前後であり、残りの85%は主にアメリカ、カナダ、オーストラリアから輸入されています。2022年度の自給率はカロリーベースで16%に達しましたが、依然として多くの小麦を外国に依存しています。これは、日本の気候条件が小麦栽培に適していないためであり、特に梅雨の影響が大きいです。
日本の気候は小麦の栽培に適しておらず、特に湿気に弱い小麦は梅雨の長雨によって品質が低下しやすいです。秋まき小麦が一般的ですが、収穫期に長雨が続くと穂発芽が起こり、商品価値が失われるため、安定した生産が難しいのです。
国産小麦の自給率向上に向けた取り組みとして、農地整備や品種改良が進められています。特に北海道では、梅雨のない気候を活かして小麦の増産が図られ、近年では生産量が95万トンに達し、自給率も15%に回復しています。
政府は食料安全保障の強化を目指し、国産小麦の生産を増やすための施策を講じています。2023年度には130億円の補正予算が措置され、小麦の品質向上や流通改善に向けた取り組みが進められています。
消費者の国産志向が高まる中、国産小麦を使用した製品の需要が増加しています。特に、パンや中華めん、パスタなどの用途が広がり、国産小麦の利用が進んでいます。これにより、国産小麦の生産が促進されるとともに、消費者の意識も変化しています。
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小麦粉は5大栄養素のどれ?
小麦粉の主成分は炭水化物であり、これが全体の70%以上を占めています。なので一言で言えばもちろん小麦粉は炭水化物にあたります。
他の成分はというと、全粒粉には食物繊維が豊富に含まれています。食物繊維は消化を助け、腸内環境を整える役割を果たします。全粒粉を使用することでミネラルなど日常的に必要な栄養素を効率的に摂取することが可能です。
他にも6%から13%の植物性タンパク質が含まれています。しかし、必須アミノ酸の一つであるリジンが不足しているため、肉や卵、乳製品と組み合わせて摂取することが推奨されます。
ビタミンではビタミンB1やビタミンEが含まれていてこれらは糖質の代謝や抗酸化作用に重要な役割を果たします。特にビタミンB1は、エネルギー生成を助け、疲労回復に寄与します。これにより、日常生活における活力を維持するために、小麦粉を含む食品を積極的に摂取することが推奨されます。また、カルシウム、鉄、マグネシウムなどのミネラルが含まれています。
あまりイメージのわかないところだと、小麦粉には1%から2%の脂質も含まれています。特に胚芽部分には必須脂肪酸が豊富に含まれていて脂肪とは言ってもかなりヘルシーです。
小麦粉はなぜ太る?
まず、小麦粉に含まれる食物繊維は、消化を助ける重要な役割を果たします。特に全粒粉には豊富な食物繊維が含まれており、腸内環境を整える効果があります。食物繊維は腸の動きを活発にし、便通を改善することで、便秘の予防にも寄与します。また、食物繊維は満腹感を持続させるため、過食を防ぐ助けにもなります。
そして小麦粉は、白米に比べて約2倍のタンパク質を含んでおり筋肉の維持や修復に非常に有効です。見たことがない方はパスタなどの成分表示でタンパク質の量を見てみてください。蕎麦には及びませんがなかなかの量なはずです。
ということで小麦粉の摂取は、適量であれば体重管理に役立つくらいのはずです。小麦粉で太るというのは過大表現です。
実際にこの言説が正しいのであればうどん県と呼ばれる香川県の人が太りまくってしまいますが、もちろんそんなことはないですよね。と書いたところで、今念の為にお腹周りのBMIの数値の統計を調べてきました。
なんとうどん県、いや香川県は全国で5番目に平均BMIが低いです。BMIは寒い北部の方が高くなる地域傾向もあるので、環境が似ていそうな四国内で比べても、一番低い、ようです。
ん、
むしろこれは痩せるのでは??笑
ただ過剰に摂取するとカロリー過多につながる可能性は確かにあります。加工された小麦製品が往々にして高カロリーであることが多いからなことが一点。また、ご飯は和食と多く食べる機会が多いけれど、小麦粉は油や砂糖が和食に比べ多い欧米型の食事で取る機会が多いのがあるのではないでしょうか。
同一製品で同じ小麦製品であれば全粒粉を選ぶことが推奨されます。全粒粉は精製された小麦粉に比べて多くの栄養素を含んでいて、特にビタミンやミネラル、そして上記で述べたように食物繊維が豊富です。
パンとご飯はどっちが太る?
米は腹持ちが良くパンは腹持ちが悪いと言われることもありますが、科学的に一般に白米と普通のパンであればほとんど違いはありません。ごはんやパンで悩むより、白米好きなら玄米に、パン好きなら全粒粉のパンに変えるほうが理にかなっているといえます。
タンパク質などについても日本国内ではご飯のほうが良いという意見が今回色々調べたらやたらと多いのですが、ご飯がいいのはアミノ酸のバランスです。そして実際にそれは小麦よりいいです。
ただしタンパク質の絶対量は小麦のが圧倒的に多いのです。
ご飯のタンパク質の量はわずかなので、ご飯のタンパク質の量をあてにして他にタンパク質を取らないような食生活はよくないです。あまりそういう方はいないと思うのですが、昔の日本人は肉を取らなかったけれど納豆や豆腐などの大豆製品や魚でタンパク質をとっていたくらいです。忙しい朝で準備してられない人は納豆や、卵かけごはんにするだけでもだいぶよくなります。
ちょっと話がそれてしまいましたが、基本的にパンとご飯ならほとんど変わらない、これが答えです。ただし、ピーナッツバターやヌテラを塗りまくったパン、チャーハンやバターカレーをかけたご飯はこの限りではありません。