オルゾー 米型パスタ?
パスタといえば麺類と思っている人も多いかもしれない。
しかし実は幅広い。
スパゲティだけでなくマカロニも、ラザニアもパスタだ。こちらのオルゾーは我々アジア人から見ればほとんど米に見えるのではないだろうか。しかしパスタである。
料理としてもリゾットのような調理のされ方が多い。
ただ実際には名前の由来は米ではなく、その名称の意味はイタリア語で「大麦」である。このオルゾーパスタはその形から米料理、更にはスープやサラダで人気の汎用性の高いパスタである。
ちなみに原材料としては他の伝統的なパスタと同様小麦粉、具体的にはセモリナ粉から作られる。
地域としては北イタリアの料理では特によく使われ、あっさりしたスープのベースとして使われたり、米のように柔らかくなるまでスープと一緒に炊いたおかずとして出されたりする。
また、冷製サラダ、焼きキャセロール、ピラフ風料理など、ハーブやスパイス、ドレッシングの風味を吸収して万能な食材となり順応性の高さから好まれている。
スパゲッティ
誰もがご存知、おそらくすべてのパスタの種類の中で最も象徴的なパスタだ。世界中で知られている細長い円柱形の麺である。
その起源は諸説あり、古代ローマ帝国にまで遡るという説もある。しかし、スパゲッティの現代版はデュラム小麦の栽培に理想的な気候で乾燥パスタの生産が容易だった南イタリア、その中でも特にナポリに深く関係する。
伝統的にデュラム小麦のセモリナと水から作られるスパゲッティは、シンプルなアーリオ・オーリオ(ニンニクとオイル)からボロネーゼまで幅広いソースと相性がよい。
タリアテッレ
タリアテッレはイタリアのエミリア・ロマーニャ地方、特にボローニャで生まれたリボン状の麺でこの地方では郷土料理の定番である。
小麦粉と卵を混ぜて作られるこのパスタは、柔らかな食感で定番のラグー・アッラ・ボロネーゼなど、北イタリア料理の典型的なボリュームたっぷりのクリーミーなソースによく絡む。
幅は様々だが一般的には約6~8mm。1931年、ルクレツィアがフェラーラ公爵と結婚した際に喜劇作家アウグスト・マジャーニがユーモラスに語った伝説によると、このパスタはルクレツィア・ボルジアの髪にヒントを得たとされている。
オレッキエッテ
イタリア語で「小さな耳」を意味するオレッキエッテは、南イタリアのプーリア州を原産地とする小さな耳の形をしたパスタである。
オレキエッテのくぼみは濃いめのソースや小さな野菜をすくうのに特に適した形でブロッコリ・ラーベ(ラピーニ)とニンニクの組み合わせは典型的で、”オレキエッテ・アッレ・チーメ・ディ・ラーパ “というブロッコリーのパスタ料理して知られている。
パッパルデッレ
パッパルデッレはイタリアのトスカーナ地方で生まれた、タリアテッレに似ているが、より幅広の平たいパスタ麺である。
このパスタは小麦粉と卵の生地から作られ、濃厚で卵の風味豊かな麺となり、ボリュームのある素朴なソースにぴったりである。トスカーナ地方とその周辺地域の狩猟の伝統を受けて伝統的にイノシシ、野ウサギ、鴨などの狩猟肉のソースと供される。
表面積が広いためやはり濃厚なソースに最適である。パッパルデッレという名前はイタリア語の「パッパレ」という動詞に由来しており、これは「ガツガツ食べる」といった意味である。
フジッリ
フジッリはコルク栓のような形をしたパスタで南イタリアが発祥の地である。伝統的にはスパゲッティを細い棒に絡めてらせん状にしていた。
この製法によりらせんの長さや締まり具合にバリエーションが生まれ、異なる食感やソース持ちが楽しめるようになったわけである。
フジッリは万能パスタで濃厚なミートラグーから野菜やチーズをベースにしたあっさりしたソースまで、様々なソースに合う。
ニョッキ
ニョッキは柔らかい生地の団子で典型的な意味でのパスタとは必ずしも見なされない。が、イタリアのパスタ、特にヴェネト州やロンバルディア州などの北部地域では欠かせない位置を占めている。
一般的なパスタとは異なりニョッキの主原料はジャガイモだ。小麦粉、卵、場合によってはリコッタチーズを加えて柔らかくしなやかな生地を形成する。
この団子を親指大の大きさに丸めフォークやニョッキ用の板で押して畝を作り、ソースを絡めやすくする。ソースは、セージとバターのシンプルなものからしっかりしたミートソースまでやはり様々なソースと相性が良い。
ニョッキの語源について。木の節を意味する「ノッキオ(nocchio)」か、小さくて丸みを帯びた形状を反映したナックルを意味する「ノッカ(nocca)」と考えられている。
ジャガイモは南米の野菜なので大航海時代以降の新しいパスタと思う人も多いかもしれない。しかしトマト伝来以前からピザがあったようにこのパスタも歴史は古い。
ヨーロッパにジャガイモが伝来する以前からバリエーションがあったほどで、もともとはセモリナやパン粉を使って作られていた。
リングイネ
イタリア語で「小さな舌」を意味するリングイネ。平麺のフェットチーネに似たパスタの一種であるがより細長い。
イタリアのリグーリア地方が原産で、リングイネは伝統的にシーフードソースやペストソースと一緒に供されることが多い。平たく細い形状は特にオイルベースの軽いソースに適しており、魚介類やハーブ、スパイスの繊細な風味を生かすことができる。このパスタの表面積はバジルペーストやシンプルなニンニクとオリーブオイルのドレッシングのニュアンス豊かな風味をまとわせるのに理想的でリグーリア海岸の料理に適しているパスタだ。
特に一つ挙げるなら、アサリのリングイネ、リングイネ・アル・ヴォンゴレは、古典的な魚介系パスタ料理でアサリの塩辛い甘みと麺のアルデンテな歯ごたえがマッチする逸品である。
カンネローニ(カネロニ)
カンネローニ、カネロニは、濃厚でボリュームのある料理で知られるイタリア中域、エミリア=ロマーニャ地方が発祥の大きめの円筒形のパスタである。この筒状パスタはリコッタとほうれん草、または肉ベースのラグーなどの具材を詰め、トマトソースとベシャメルをかけて焼くなどの調理法が多い。
パスタを詰めて焼くというコンセプトは初期のイタリア料理にさかのぼるが、現在のようなカネロニが広まったのは20世紀初頭のことだ。この料理はクリーミーなフィリングとトマトの酸味、ベシャメルソースのコクを組み合わせなどがあう。
リガトーニ
リガトーニは表面に畝のある筒状のパスタで、ペンネよりもかなり大きく、やや湾曲していることも多い。
このパスタはイタリア南部、特にシチリアとカンパーニャのものである。リガトーニという名前はパスタの表面の質感を意味するイタリア語の「リガート(隆起した、並んだ)」に由来する。
リガトーニはこの畝と中心が広く空洞になっているため、ボロネーゼやアラ・ノルマ(ナスとリコッタ・サラータ入り)のようなボリュームのあるソースを絡めるのに適している。
わりと頑丈な構造をしているため、焼くことにも耐えることができるのでやはりカンネローニのように焼きパスタ料理にもよく使われる。チーズや肉をふんだんに使えばラザニアを超えるようなオーブン系のかなりジューシーな料理にもすることが可能だ。
ファルファッレ
その特徴的な形から一般に「蝶ネクタイ」または「バタフライ」と呼ばれるパスタだ。北イタリアのロンバルディア州やエミリア・ロマーニャ州が発祥の地と考えられている。
このパスタの形は、小さな長方形のパスタ生地の中央をつまんで、左右に特徴的な羽を作ることによって作られる。ファルファッレはトマトやクリームベースのソースなど、あっさりとしたソースや中庸のソースに特に適しており、その形状は野菜やチーズの切れ端を受け止めるのに優れている。
ファルファッレの端はアルデンテのままで、他の具材の中で満足のいく噛み応えを提供してくれるため、冷製パスタ・サラダなどでも人気のあるパスタである。
トロフィエ
トロフィエは有名なペスト・ジェノベーゼの故郷であるイタリアのリグーリア地方が発祥の地である。
この短くねじれた形のパスタは伝統的に手打ちで作られ、手のひらでパスタ生地の小片をこすり合わせて、先が細くカールした形を作る。
トロフィエの独特な形と食感は、ソース、特にペーストをからめるのに適しており、ソースがパスタの表面に効果的に付着する。トロフィエにバジルペースト、ジャガイモ、インゲン豆を合わせたトロフィエ・アル・ペストはリグーリア地方の伝統的な料理である。
ちなみに動画のこちらはグラタンやドリアのようにオーブンで仕上げたベイクドトロフィエだ。実際に自分も作ったことがあるが最高である。
余談と小話
今では近隣のスーパーに目当てのパスタがなくてもアマゾンなどですぐに大抵のパスタは簡単に手に入るので皆さんもたまには変り種のパスタをいかがだろうか。都市部や地方部でも某モールなどにはカルディやジュピターなどの食材店があれば色々なパスタがあると思う。
ちなみに自分は少し変わったものを買うのが好きな方である。ある日アフリカなどで食べられているクスクスを買った。
どうやって調理しようかと3ヶ月くらい時間が経ち、よしと気合をいれてクスクスのレシピもネットでアフリカの方のを探して見た。そしてゆで時間を確認しようと下準備などをしたところでパッケージをよく見たら、何かがおかしい。
実はクスクスではなく粒粒の聞いたこともない小麦粉のパスタだった。。
しかしよくよくクスクスを調べるとクスクスもデュラム小麦のパスタであったため、そのまま作ったら美味しく食べられたという小話である。地中海の文化圏の緊密さ?を感じられた。笑