ルンダン インドネシアのメインディッシュ

ルンダン インドネシアのメインディッシュアジア

インドネシアの代表料理

ルンダンは、生姜、ニンニク、ターメリックで深くスパイスを効かせ、じっくりと煮込んだ肉料理だ。インドネシア西部にある西スマトラ州のミナンカバウ族が発祥とされ、伝統的に儀式の際に客をもてなす料理だった。

(ちなみにミナンカバウ族は母系社会として世界的にも有名な部族である。イスラム教で母系なのでその点でも更に珍しい文化である。)

この料理はココナッツミルクとスパイスで肉を煮込み、煮汁が蒸発するまで煮込むという独特の調理法で濃厚なカラメル色の皮膜ができる。

化学的に言えばルンダンの風味はじっくり煮込む過程でアミノ酸と還元糖の間で起こる化学反応、メイラード反応によってもたらされるものだ。また、豊富なスパイスに由来する抗酸化物質や抗炎症化合物を多く含むなど、その潜在的な健康効果についても研究されている。

インドネシアでは国の祝祭のときによく食べられ、共同体の集まりやお祭りの定番料理である。

Rendang Padang

ルンダンの材料と製法

主な材料は、牛肉(鶏肉、鴨肉、野菜の場合もある)、ココナッツミルク、ニンニク、ショウガ、エシャロットなどのスパイスを挽いたペーストである。

レモングラス、ガランガル、カフィアライムの葉などのスパイスもよく使われる。独特のスパイスミックスとじっくり煮込む工程が独特の味と食感を与える。

工程はスパイスをブレンドした調味料に肉を漬け込み、ココナッツミルクで弱火でじっくり煮込むことから始まる。時々かき混ぜながら、数時間かけて煮込む。出来上がりは肉がこげ茶色になり、辛口になる。

作ってみるとわかるが最初ほとんどココナッツミルクのために白い鍋が、まるで美味しさが凝縮されたように出来上がりが近づくにつれほとんど黒っぽくなるさまは少し驚きである。

単純ながら重要なコツ 煮込む、混ぜる

ルンダンで最も重要なのは煮物には当然なのだが、結局じっくりと煮込むことだ。肉を柔らかくするのはもちろん、味をなじませ、そして肝心のスパイスを肉に吸収させるため特に重要となる。濃厚なココナッツミルクを使いコクのある食感にじっくり仕上げることで全体が調和するのだ。

また、肉の選び方も重要だ。長時間煮込むため意外にも肉質が硬いものが好まれる。肉は調理中に崩れないよう、大きめのぶつ切りにするのも注意したいポイントだ。

地域に根差す料理

この料理はミナンカバウ族の文化に深く根付いている。伝統的に女性によって調理され、結婚式やお祭りなどの儀式で供される。共同体の結束を象徴する料理であり、共同体の集まりや祝宴で共有される。2011年、CNNインターナショナルは「世界で最もおいしい食べ物50」の第1位にルンダンを選び、その世界的な魅力をアピールした。

地域による違い

基本的な材料や調理法は似ているが、地域によってルンダンのバリエーションがある。

インドネシアのルンダンは辛口で、マレーシアのものはココナッツミルクが多めなのでマイルドなことが多い。スパイスやハーブは地域によって異なり、例えばバリ島版には「ブンブ」と呼ばれる地元のスパイスが使われることもある。両方とも牛肉、または鶏やヤギ肉を使用する。インドネシアもマレーシアもイスラム教国のため豚肉についてはそもそもタブーである。

また、特別な日に大量に作られることもある。ケンドゥリと呼ばれる伝統的なマレーの祝宴の定番料理で、他の伝統料理と一緒に出される。

ルンダンはイスラム教のスルタン国、クランタン王国の王室の厨房から生まれたと信じられていて歴史的に重要な意味を持つ料理でもある。今ではインドネシア全土とマレーシアはもちろん、シンガポール、フィリピンなどの近隣諸国にも食べられる場は広がっている。

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