ワッフルの歴史
先生:ワッフルの歴史は中世までさかのぼります。
学生:え。想像していたよりもずっと古いですね。
先生:そうなんです。2枚の熱板で生地を挟んで焼くという発想は何世紀も前からあったんです。
ワッフルのような初期の食べ物は甘くなく、香ばしい食材と一緒に食べられていました。13世紀、ある職人がハニカム(蜂の巣)模様やグリッド(格子)模様のプレートを鍛え、現在のワッフルのようなものを作り出したのが始まりです。
学生:では、どのようにして今のような甘いワッフルに進化していったのでしょうか?
先生:いい質問ですね。その変化は緩やかなものでした。
ワッフルにハチミツや砂糖で甘みをつけるようになったのは、18世紀になってからです。
今日私たちが知っている、シロップやフルーツを添えて食べる甘いワッフルは比較的最近の技術革新で、19世紀ごろまで遡ることができるのです。
学生:いろいろなスタイルがあるんですね。ベルギーワッフルやアメリカンワッフルというのは聞いたことがあります。大きな違いはあるのでしょうか?
意外に最近なベルギーワッフルの誕生、そしてアメリカンワッフル
先生:ベルギーワッフルは1958年のブリュッセル万博で誕生し1964年のニューヨーク万博で提供されたことがきっかけで、アメリカでも人気が出ました。
また、ベルギーのリエージュワッフルもありこちらは生地にパールシュガーを混ぜているため、より密度が高く、甘くてモチモチしている。
一方、アメリカのワッフルはより密度が高く、薄く、格子模様が小さいのが一般的です。シロップやフルーツ、ホイップクリームを添えて朝食として食べることが多いのですが、塩味のものもあります。
学生:明解には分けられませんか?
先生:そうですね。一概に分類するのは難しいです。ベルギーワッフルの生地は卵白を別々に泡立ててから生地に混ぜ込むため、軽い食感が一般的ともいえますがそうでないのもありますし。
一方、アメリカンワッフルは密度が高い。しかもバターミルクやコーンミールなど、さまざまな種類の生地で作られることがありますがこれがアメリカン、と一つには決まっていませんね。
レシピによってサクサクとした軽いものから、ケーキのような柔らかいものまで、さまざまな種類がありますので。
学生:なるほど。
ゴーダ市名物、ストロープワッフル
学生:あ、そういえばストロープワッフルというのも聞いたことがあるような?
先生:オランダの黄色いゴーダチーズでも有名なゴーダ市の名物、ストロープワッフルですね!
あれも美味しいんですよ。薄いワッフル2枚でシロップを挟んだもので熱いコーヒーや紅茶の上に置いて、柔らかくしてから食べることが多いですね。コーヒーや紅茶などの飲み物の熱でシロップの層がより溶けてきてさらにおいしくなるんです。
学生:想像しただけで食べたくなってきますね。
ところでストロープってなんですか?
先生:オランダ語でシロップということですね。
学生:シロップ、シロープ、ストロープ、なるほど!笑
先生:ところで「ナショナル・ワッフル・デー」というのがあるのをご存じですか?
学生:ワッフルに特化した日があるんですか?
先生:あるんですよ!アメリカでは、1869年にコーネリアス・スワートワウトがワッフルアイロンの特許を取得した日を記念して、8月24日を「ナショナル・ワッフル・デー」と呼ばれています。
また、スウェーデン発祥の「国際ワッフルデー」もあり、こちらは3月25日に祝われます。
学生:今度、お祝いしてみようかな。
ワッフルの定番の食べ方
先生:さて、ワッフルに独自のアレンジを加えているお店があるのはご存知ですか?
学生:いえ、よくわかりません。独自のアレンジとはどういうことでしょうか?
先生:そうですね、アメリカを含む多くの国では、メニューにチキンとワッフルがあることは珍しいことではありません。
香ばしいフライドチキンと、バターと甘いメープルシロップをかけたワッフルの組み合わせは、アメリカでは定番なんです。
学生:私には思いつかない組み合わせですね。
先生:甘いワッフルと香ばしいチキンのコントラストが絶妙なバランスですよ。ワッフルの汎用性の高さを示す好例ですね。
ソウルフードとしてロサンゼルスのロスコーズ・ハウス・オブ・チキン&ワッフルズをはじめとするさまざまなレストランで広まっているんですよ。
学生:チキンもワッフルも美味しいですから美味しい気はしますね。誰が考えたかなどはわかっていますか?
先生:この料理のルーツは南部料理とペンシルベニア・ダッチ料理といわれていますが正確な起源については議論がありますね。
学生:なるほど。思い出したんですけどピザとハチミツのような組み合わせもありますし、不思議ではないのかもしれませんね。
先生:私も、あれも慣れるまではなぜと思っていましたよ。でも今では美味しいです。
マカオのエッグタルト、香港のエッグワッフル
先生:さて、ワッフルのバリエーションはそれだけにとどまりません。
例えば、香港ではバブルワッフルと呼ばれる、卵をたっぷり使った生地があります。伝統的な格子模様の代わりに、丸いマス目があり、それが泡のような見た目を作り出しているのです。
学生:見た目はほとんどたこやきですねそれ。
先生:バブル・ワッフルは「エッグ・ワッフル」とも呼ばれ、香港発祥のストリート・フードとして人気なんですよ。
学生:ますますたこやきを連想してしまいます。たこやきも確か昔は「たまごやき」という料理が源流にあったはずですよ。
先生:共通点はちょこちょこあるけど別物ですよ。
学生:そういえば香港の近くのマカオではポルトガル由来のエッグタルトもありますし卵だらけですね。
先生:言われてみればそうですね。ベルギーとポルトガルの料理が香港とマカオの名物になっているのは何かおもしろく感じますよね。
ちなみにストリートフードなので伝統的なワッフルとは異なりバブルワッフルは手持ちのスナックとして楽しむことが多いです。
もちろんフルーツやチョコレート、アイスクリームなど、さまざまなトッピングをのせることもできます。
学生:色々載せられるんですか。なんだか今度はクレープに見えてきましたよ。
先生:ワッフルです。ワッフル。
学生:世界に更にワッフルが広がって、ますます色んなワッフル開発がされることを今後も期待ですね。