甘い香りとともに舌の上で溶けるチョコレートは、世界中で愛される食べ物の一つでしょう。
しかし、その製造過程や溶ける温度について詳しく知っている人は意外と少ないかもしれません。
チョコレートの基本知識
チョコレートの製造過程
お硬く説明するならチョコレートはカカオ豆から作られる食品であり、液体・固体・ペースト状など多様な形態で市販されています。
そして製造工程はまず、カカオ豆を発酵・乾燥・焙煎することから始まります。
焙煎後は外皮を除去してカカオニブを得て、これを粉砕すると「カカオリカー」になります。
このカカオリカーをさらに処理することで、ココアバター(脂肪分)とココアソリッド(固形分)に分離されるのです。
3種類のチョコレートの特徴
カカオベースに砂糖や乳固形分を加えることで、異なる種類のチョコレートが作られます。
ダークチョコレートは砂糖とココア固形分のみを含み、濃いカカオ風味と滑らかな舌触りが特徴です。 カカオ含有率が高くなるほど、苦味や渋味が強くなります。
ミルクチョコレートには乳固形分が入っていて、風味がまろやかに仕上がります。 日本で最も親しまれているタイプといえるでしょう。
ホワイトチョコレートはココア固形分を含まず、ココアバター・砂糖・乳固形分で構成されているため、色は白く甘さが際立ちます。
滑らかさの秘密「コンチング」
チョコレートの滑らかさを生み出す重要な工程が「コンチング」です。
摩擦熱と攪拌によって粒子を微細化し、味を整える作業で、あの口溶けの良さには欠かせません。
最後に「テンパリング(調温)」という工程で、安定的なココアバター結晶を作り出します。 これによって光沢ある外観とパリッとした食感が生まれるのです。
カカオという植物について
カカオの基本情報
カカオ(学名 Theobroma cacao)は南米アマゾン盆地原産の常緑樹で、高さは4〜8メートルほどに育ちます。
学名のTheobroma、テオブロマはギリシャ語で「神々の食べ物」を意味しています。古代マヤやアステカでは儀式・薬・通貨としても重要視されていました。
カカオの果実と豆
カカオの果実は「カカオポッド」と呼ばれ、楕円形で成熟すると黄色やオレンジ色になります。 重さは約500グラムに達し、ポッド内には20〜60粒ほどのカカオ豆が白いパルプに包まれて存在しています。
収穫後のカカオ豆はパルプとともに発酵され、この段階で風味の元となる香気成分が生成されます。 発酵→乾燥→焙煎を経てカカオニブとなり、チョコレートの原料へと加工されるのです。
カカオの品種と栽培環境
従来、カカオはクリオロ種・フォラステロ種・トリニタリオ種の三系統に分けられてきましたが、近年の遺伝解析では十一の遺伝的クラスターに区分されています。
カカオの生育には赤道±20°の熱帯地域が適していて、年間約2,000mmの降雨と21〜32℃の気温が必要です。
15℃以下では生育が困難になるため、主な産地は西アフリカ(特にコートジボワール、ガーナ)、南米、東南アジアなどに集中しているわけです。
チョコは何度で溶ける?
溶解温度の基本原理
チョコは何度で溶けるか?
これは35度と覚えておくと便利かもしれません。
個人的にも経験がありますが、36度くらいが体温である人間のポケットにチョコを入れておくと溶けてしまうのはそういうことです。
詳しい話をすると、チョコが溶ける温度は内部成分と結晶構造に大きく依存します。
主成分であるココアバターは複数の結晶形を持つ多形性物質で、安定性の異なる6つの結晶形(Form I〜VI)が存在します。
そして最も安定した結晶形であるForm Vは約34〜35℃で溶け始めるのです。
そしてこれは人体の体温と近い温度で口溶けの良さの実現にも働くのです。この温度によって手で持つと溶け始め、口に含めば素早く溶け出すという特性があるわけです。
チョコの種類別の溶ける温度
より具体的に深堀ると、各タイプのチョコレートの溶解温度範囲は以下の通りです。
- ダークチョコレート:31〜50℃
- ミルクチョコレート:30〜45℃
- ホワイトチョコレート:28〜43℃
この温度幅の違いはココアバター以外の成分配合によって生じます。
ダークチョコレートはココアバター含有率が高く、結晶構造が安定しているため比較的高い温度で溶けます。
ミルクチョコレートに含まれる乳脂肪分は、ココアバターの結晶構造に影響を与え、溶解温度を下げる働きをします。
そしてホワイトチョコレートは乳固形分と砂糖の割合が高いチョコです。よってココアバター純度が低いため最も低い温度で溶け始めるのです。
結晶構造と溶解メカニズム
チョコレートの溶解は段階的に進行します。 まず表面の不安定な結晶が溶け始め、続いて安定したForm V結晶が溶解します。
この過程で脂肪分が液体となり、固形分(砂糖、カカオ固形分)が分散した状態になります。 口の中では唾液と混ざり合い、香気成分が揮発して風味として感じられるのです。
環境要因と溶解特性
温度以外にも湿度や圧力が溶解に影響します。 高湿度環境では表面に水分が付着し、砂糖が溶け出すことで全体の溶解温度が変化することがあります。
また、チョコレートに含まれるレシチン(乳化剤)は、脂肪分と固形分の結合を安定化させ、溶解時の食感を滑らかにする役割を果たします。
テンパリングと溶解温度の関係
テンパリング工程では、チョコレートを一度加熱して溶かし、冷却しながら攪拌することで理想的な結晶構造を作り出します。
適切にテンパリングされたチョコレートは、Form V結晶が主体となり、約34〜35℃で溶ける特性を持つというわけです。
このテンパリングが不十分だと不安定な結晶が多く残り、溶解温度にばらつきが生じたり、白い粉(ブルーム)が表面に現れたりします。
チョコレートの保管と利用法
適切な保管方法
チョコレートの保管には湿度や直射日光を避け、15〜18℃ほどの比較的低温環境が望ましいとされています。 これによって風味や質感を長持ちさせることができます。
多彩な用途
チョコレートは飲料(ホットチョコレート)や菓子(クッキー、アイスクリーム、ムース)など食材としても幅広く利用されています。 その人気の背景には、カカオに含まれる香気成分や食感の魅力、そして広範な用途があるからでしょう。
まとめてQ&Aコーナー【わかりやすく】
なぜチョコレートは口の中で溶けるの?
チョコレートの主成分であるココアバターが、人間の体温より低い34〜35℃で溶け始めるためです。 これによって口に入れた瞬間から滑らかに溶け出し、香りや味わいが口全体に広がります。
ダークチョコレートとミルクチョコレートで溶ける温度が違うのはなぜ?
含まれる成分の違いによるものです。 ダークチョコレートはココアバター分が多く固まりやすいため、やや高い温度で溶けます。 ミルクチョコレートには乳固形分が含まれているため、より低い温度で溶け始めます。
手で持つとチョコレートが溶けるのはなぜでしょう
人間の手の温度は約32〜35℃だそうです。
これがチョコレートの溶解温度とほぼ同じか少し上回るためですね。
特に暖かい場所や手のひらでは、チョコレートが溶けやすくなります。
まとめ
チョコレートはカカオ豆から始まる複雑な製造過程を経て作られる食品です。 その溶解温度は成分配合によって異なり、一般的に35度、厳密にはチョコの種類によって異なり28〜50℃の範囲で溶け始めます。
ダークチョコレートは高めの温度で、ホワイトチョコレートは低めの温度で溶ける傾向があります。 コンチングやテンパリングといった技術により、滑らかな口当たりと美しい外観が実現されています。
以上となりますが、これらの知識を持つことでチョコをより深く味わったり上手く扱えることに少しでも助力できたなら何よりです^^
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